セッション情報 ポスター

C型肝炎1

タイトル P-301:

インターフェロン,リバビリン,Angiotensin-II受容体阻害薬(ARB)の3剤併用による肝線維化抑制効果:抗血管新生作用との関連

演者 吉治 仁志(奈良県立医科大学第3内科)
共同演者 野口 隆一(奈良県立医科大学第3内科), 相原 洋祐(奈良県立医科大学第3内科), 守屋 圭(奈良県立医科大学第3内科), 浪崎 正(奈良県立医科大学第3内科), 堂原 彰敏(奈良県立医科大学第3内科), 福井 博(奈良県立医科大学第3内科)
抄録 【目的】Telaprevirの併用によりインターフェロン(IFN)/リバビリン(RVB)療法のC型肝炎ウイルス排除率は著明に向上したが,強力な抗ウイルス療法が困難な例や難治例も未だ多く存在することから,治療困難例の予後改善のために肝線維化抑制は重要である.近年,血管新生が肝線維化進展に重要な役割を果たしていることが注目され,我々はこれまでにAngiotensin-II受容体阻害薬(ARB)およびIFNが抗血管新生作用を示すこと,IFN抵抗症例においてACE阻害薬/IFN併用療法が肝線維化を抑制することを報告してきたが,RVBも血管新生を抑制することが報告されている(FASEB J, 21, 81, 2007).今回はIFN,ARBにRVBを加える3剤併用カクテル療法の肝線維化抑制効果につき血管新生への影響を含めて検討した.【方法】マウス実験的肝線維症を作成し,これをARB(losartan:30mg/kg)投与群,IFN(IFN-α:1x 104 IU/週2回)投与群,RVB(10mg/kg)投与群,2剤併用群,3剤併用群および無治療コントロール(C)群に分けて,各種検討を行った.【結果】ARB,IFN,RVBは共に臨床用量に匹敵する低用量において肝線維化を有意に抑制した.2剤併用投与群では単剤投与群より線維化抑制効果が強く,3剤併用群では最も強い線維化抑制効果が認められた.この際,活性化肝星細胞(Ac-HSC),TGF-βおよび肝内血管新生,VEGF発現は肝線維化とほぼ平行して抑制されていた.In vitroの検討において,ARB,IFN,RVBはAc-HSCの増殖ならびにTGF-β産生を用量依存性に抑制すると共に,血管内皮細胞(EC)増殖および管腔形成を有意に抑制した.【結論】抗ウイルス剤であるRVBがAc-HSC,ECを直接抑制すること,ARB,IFN,RVBが相乗的に肝星細胞活性化と血管新生を阻害することを明らかにした.これら3剤併用カクテル療法はC型肝炎治療困難例に対する強力な肝線維化抑制療法となり得る可能性が示唆された.
索引用語