セッション情報 | ポスターC型肝炎1 |
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タイトル | P-302:インターフェロン治療SVR判定後発癌した女性例と既報告例を用いた男性例との比較 |
演者 | 川上 万里(岡山済生会総合病院肝臓病センター) |
共同演者 | 梅川 康弘(倉敷成人病センター内科), 藤岡 真一(岡山済生会総合病院肝臓病センター), 足立 卓哉(岡山済生会総合病院肝臓病センター), 関 杏奈(岡山済生会総合病院肝臓病センター), 下村 泰之(岡山済生会総合病院肝臓病センター), 大澤 俊哉(岡山済生会総合病院肝臓病センター), 糸島 達也(岡山済生会総合病院肝臓病センター) |
抄録 | 【目的】インターフェロン(IFN)治療によるsustained virological response(SVR)達成後,長期間を経て肝細胞癌を合併する症例が我が国でも100例以上報告されている.危険因子として[高齢],[男性],[線維化],[HBV感染],[肥満],[糖尿病]などがあげられており,高齢男性が多い.このたび我々はC型慢性肝炎のIFN治療によるSVR達成4.5年後に発癌を認めた女性例を経験したため,男性例との比較検討を試みた. 【症例】74才女性.5年前C型肝炎に対してIFNβ治療を受けSVR判定されたが,2.3cm大の肝細胞癌を認め,肝部分切除術を行った.切除標本は腫瘍部が中分化型肝細胞癌で,非腫瘍部肝組織はF3/A2→F2/A1と改善していた.HBc抗体陽性であった. 【方法】当院症例および既報告例を含めIFN投与後から肝癌診断までの期間が5年以上経過し,腫瘍サイズが3.0cm以下で発見された男性例26例と女性例6例を対象に患者背景や肝細胞癌の性状などの比較検討を試みた. 【成績】男女比は4:1で,男性が多かった.飲酒歴やBMI,糖尿病,HBV感染などの患者背景に有意差を認めず,IFN治療導入前の肝線維化程度にも有意差は認めなかった.IFN治療導入による肝線維化改善を男女共6割強に認めた.発癌時の肝線維化程度にも有意差を認めなかった.女性例のIFN治療導入年齢(65±4歳)は男性例(57±7歳)より有意に高く(p<0.05),また女性例の発癌年齢(72±3歳)も男性例(66±6歳)より有意に高かった(p<0.05).IFN治療導入~肝細胞癌診断の期間は男女間で有意差は認めなかった. 【考案】IFNのSVR後発癌は主に高齢者に認められ,発癌と年齢との関与が示唆された.女性例のIFN導入年齢および発癌年齢が男性例より有意に高かったことよりestrogenが発癌を阻止していた可能性が示唆された. 【結語】SVR判定後も長期間を経て肝細胞癌を合併する例を経験し,特に高齢者では背景肝組織が肝硬変に至らない場合でもより慎重な経過観察を要すると考えられた. |
索引用語 |