セッション情報 ポスター

C型肝炎2

タイトル P-307:

C型肝炎治療困難例に対するPEG-IFNα 2a少量長期療法の検討

演者 荒滝 桂子(土谷総合病院消化器内科)
共同演者 辻 恵二(広島市立安佐市民病院内科), 守屋 尚(中国労災病院内科), 伊藤 博之(済生会呉病院内科), 中西 敏夫(市立三次中央病院内科)
抄録 【目的】我々は,多施設共同で2005年から貧血,血小板減少,高齢によりIFN標準的治療が困難な症例,PEG-IFN+RBV併用療法(ペグリバ)無効・再燃例に,PEG-IFNα2a少量投与および少量リバビリン追加治療を行ない,ALT値,AFP値が低下すること,副作用も軽微であることを報告してきた.今回,発癌歴のない66歳以上で,ペグリバでNull responderあるいはPartial responder,副作用のためペグリバを中止した症例,治療困難例に限定して,ALT値,AFP値,発癌の有無を検討したので報告する.【方法】対象は,38例(男/女=13/25).66-79歳(中央値72.5歳).投与期間0.93-54.8ヶ月(中央値20.0ヶ月).PEG-IFNα2a 45~90μgを1-2週または4週に1回投与し,ALTが正常化しない場合はリバビリン200-400mgを追加投与した.【結果】ALT31IU/L未満症例は,治療前9/33(27.3%),24週後20/29(69%),AFP10ng/ml未満症例は,治療前17/26(65.4%),24週後22/27(81.5%)であった.発癌8例(男/女=5/3),死亡5例(全例,肝癌・肝不全死)であった.発癌例は,投与開始時の血小板数が有意に低く(P=0.0023),全例12×104/μl未満であった.さらに,投与後24週時のAFPが10ng/ml未満症例の発癌が有意に低かった(P=0.0409).血小板数12×104/μl未満症例の検討では,女性の発癌率が男性より有意に低かった(P=0.0036).また,発癌群の投与期間は非発癌群と比べて有意に短かった(P=0.0491).8/38(21.1%)でSVRが得られた.【結論】control studyではないので発癌抑止効果は不明であるが,66歳以上の標準治療困難例に対するPEG-IFNα2a少量と少量リバビリン上乗せでALT値,AFP値を低下させることができていた.新規抗ウイルス薬による治療が可能となるまで,長期投与による副作用の新たな出現がないか注意しながら投与を継続する予定である.
索引用語