セッション情報 ポスター

膵炎

タイトル P-310:

急性膵炎の病態に対する肥満の影響

演者 山本 龍一(埼玉医科大学総合医療センター)
共同演者 石田 周幸(埼玉医科大学総合医療センター), 高橋 正朋(埼玉医科大学総合医療センター), 原田 舞子(埼玉医科大学総合医療センター), 長船 靖代(埼玉医科大学総合医療センター), 平井 紗弥可(埼玉医科大学総合医療センター), 知念 克哉(埼玉医科大学総合医療センター), 加藤 真吾(埼玉医科大学総合医療センター), 名越 澄子(埼玉医科大学総合医療センター), 屋嘉比 康治(埼玉医科大学総合医療センター)
抄録 【目的】欧米では,肥満が急性膵炎の重症化因子との報告が多く,BMI30kg/m2以上では死亡率が高いとされているが,我が国ではBMIとの関係は明らかではない.そこで,ERCP後膵炎を除いた急性膵炎の成因別にBMIと病態との関係を検討した.【対象と方法】対象は2005年1月~2011年12月に当科に急性膵炎で入院した191例.成因別にアルコール性(A群),胆石性(B群),その他(C群)とし,患者背景,重症度,合併症等をretrospectiveに検討した.【成績】A群74例(男性72例,女性2例)平均52.4歳(30-75歳),B群73例(男性45例,女性28例)平均67.3歳(37-90歳),C群44例(男性19例,女性25例)平均55.3歳(22-85歳).A群で男性が多く(p<0.01),C群で女性が多かった(p<0.01).年齢はB群で高かった(p<0.05).入院時BMI30 kg/m2以上の症例は7.6%(A/B/C;4.8/10.3/7.9)と少なかったので,BMI25kg/m2を境に厚生労働省予後因子,致死率,CT grade,再発率,合併症の有無を全体および成因別に比較したが有意な差はなかった.BMI25kg/m2以上の症例はA群13.3%,B群37.5%とA群で少なく(p<0.01),CT grade 2以上はA群(29.7%)がB群(16.4%)より多かった(p<0.05).再発率はA群で高かった(A/B/C;18.3%/5.9%/5.6%,p<0.05).【結論と考察】成因別に検討しても,BMI25kg/m2以上の肥満は急性膵炎の重症度や再発率等に影響しなかった.BMI30kg/m2以上の高度肥満でなければ重症化に寄与しない可能性がある.特にアルコール性急性膵炎は,胆石性に比べ肥満者が有意に少なく,重症化因子としての肥満の影響を受けにくいと考えられた.
索引用語