セッション情報 ポスター

膵炎

タイトル P-311:

慢性膵炎患者の生活習慣に対する意識調査および指導方法に関する検討

演者 肱岡 真之(九州大学病態制御内科学)
共同演者 中村 太一(九州大学病態制御内科学), 李 倫學(九州大学病態制御内科学), 内田 匡彦(九州大学病態制御内科学), 新名 雄介(九州大学病態制御内科学), 大野 隆真(九州大学病態制御内科学), 五十嵐 久人(九州大学病態制御内科学), 伊藤 鉄英(九州大学病態制御内科学), 高柳 涼一(九州大学病態制御内科学)
抄録 慢性膵炎は難治性膵疾患であり,嗜好(飲酒,喫煙)や食事(脂質,香辛料)などの生活習慣がその病態に悪影響を及ぼす.断酒は慢性膵炎に対する有用な治療法であり,禁煙も慢性膵炎の進行を抑制する.慢性膵炎の診療にあたる医療従事者は,飲酒や喫煙が害悪であることを理解しているが,これまで明確な指針がなかったこともあり,その指導内容には差異が存在した.厚労省難治性膵疾患研究班により「慢性膵炎における断酒・生活指導指針」が作成され,患者指導の方向性が示された.これにより,指導する側の混乱は解消されつつあるが,実際に指導された患者がどの程度正確に指導内容が理解しているかについてはこれまで検証されていない.今回我々は,当科通院中の慢性膵炎患者を対象とした生活習慣に関する意識調査をアンケート法で行ったので報告する.検討した生活習慣は飲酒,喫煙,脂質の3つとし,各生活習慣に対する意識と対処法を比較検討した.断酒・生活指導を行った患者において,飲酒,喫煙継続例がどの程度存在するか検討した.飲酒継続例は22%,喫煙継続例は11%と,指導効果のない症例が存在した.飲酒継続者は飲酒自体が害悪であることを認識しながらも(90%),日常では飲酒自体を気にかけておらず(70%),断酒の必要性を認識している患者が少ない(30%)ことから,まず断酒の必要性およびその方法を指導することが必要と考えられた.喫煙継続者は飲酒継続者とは異なり,喫煙自体の害悪を理解しておらず(60%),飲酒に比べ指導が不十分であると考えられた.脂質は3つの生活習慣の中で最も患者が日常から気にかけており(80%),脂質制限の方法は脂質の絶対量を計測する患者は少なく(16%),脂質を含むイメージの多い食事をひかえたり,変更したりすることで対処していることが判明した.指導に対する患者の理解度を把握し,それに応じて指導内容を変化させることが重要であると考えられた.
索引用語