セッション情報 | ポスター肝硬変1 |
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タイトル | P-317:再発性肝性脳症を伴った非代償性肝硬変に対するレボカルニチン療法の経験 |
演者 | 室久 剛(聖隷浜松病院消化器内科) |
共同演者 | 長澤 正通(聖隷浜松病院消化器内科), 海野 修平(聖隷浜松病院消化器内科), 瀧浪 将貴(聖隷浜松病院消化器内科), 田村 智(聖隷浜松病院消化器内科), 小林 陽介(聖隷浜松病院消化器内科), 木全 政晴(聖隷浜松病院消化器内科), 芳澤 社(聖隷浜松病院消化器内科), 舘野 誠(聖隷浜松病院消化器内科), 熊岡 浩子(聖隷浜松病院消化器内科), 清水 恵理奈(聖隷浜松病院消化器内科), 細田 佳佐(聖隷浜松病院消化器内科), 佐藤 嘉彦(聖隷浜松病院消化器内科) |
抄録 | 肝性脳症は非代償性肝硬変症のQOLを低下させる重要な症状のひとつでありるが,通常治療に反応しない慢性再発症例のコントロールには難渋する.最近カルニチン投与が肝性脳症改善に有効であるとの報告がなされている.肝硬変症は2次性カルニチン欠乏症の主な原因であり,カルニチン投与は蓄積した毒性を有する代謝産物の排泄により脳神経障害や腎不全などの防止に有用であるとされている.今回我々は再発性肝性脳症の7例に対してレボカルニチン投与を行ない,その治療効果について検討した.【対象と方法】肝性脳症を併発した非代償性肝硬変7例.性別は男:女 5:2例.平均年齢69.1歳(52~83).肝硬変の原因はHCV4例,HBV1例,アルコール1例.Child-Pugh分類は全例gradeCで,scoreは平均10.7(10-12点).レボカルニチンは300~600mg/日を1日3回に分割して投与した.現在までの投与期間は2~6ヶ月間である(投与継続中).【結果】治療前のアンモニア値は平均111.0(63-214)であった.レボカルニチン投与を含めた保存的治療にて,7例中5例で治療開始1~2週後アンモニア値の正常化が得られた.治療1~2週後のアンモニア値は平均59(31-139)と著明に減少した.アンモニア値の正常化が得られなかった2例中1例で肝性脳症の再発を認めたが,他の6例で治療後の肝性脳症の再発は認めていない.肝性脳症再発した1例は服薬コンプライアンス不良の症例であった.レボカルニチンによると思われる副作用は認めていない.1例が腎不全の悪化のため死亡したが,他は全例が生存中である.【結論】レボカルニチンは再発性肝性脳症を伴う非代償性肝硬変症に対して有効であり,また安全に投与可能であった.この薬剤が長期にわたって脳症再発を抑制することが可能であるかについては,今後多数例に対して長期経過観察での検討が必要である. |
索引用語 |