セッション情報 ポスター

肝硬変1

タイトル P-319:

Interventional Radiologyが非代償性肝硬変の予後を改善する

演者 橋本 義政(JA尾道総合病院消化器内科)
共同演者 天野 始(JA尾道総合病院消化器内科), 寺岡 雄吏(JA尾道総合病院消化器内科), 天野 美緒(JA尾道総合病院消化器内科), 山雄 健太郎(JA尾道総合病院消化器内科), 今川 宏樹(JA尾道総合病院消化器内科), 福本 晃(JA尾道総合病院消化器内科), 飯星 知博(JA尾道総合病院消化器内科), 小野川 靖二(JA尾道総合病院消化器内科), 平野 巨通(JA尾道総合病院消化器内科), 花田 敬士(JA尾道総合病院消化器内科), 日野 文明(JA尾道総合病院消化器内科)
抄録 非代償性肝硬変の合併症である静脈瘤出血,肝性脳症は患者のQOLを著しく低下させる.肝予備能が著しく低下しているため侵襲的治療は患者予後を悪化させる懸念があり,侵襲度が小さく確実な効果が得られる治療が望ましい.当院ではInterventional Radiologyを治療の選択肢としており,その有用性について報告する.静脈瘤に対しては胃静脈瘤へBRTO(balloon occluded retrograde transvenous obliteration)を,内視鏡的治療困難な食道静脈瘤や異所性静脈瘤へPTO(percutaneous transhepatic obliteration)を施行している.肝性脳症に対してはシャント血管が原因である場合はBRTO単独もしくはPTOとの併用によるシャント閉塞術を施行している.2011年1月1日から2011年12月1日まで当院でPTO,BRTOを施行した症例は16例.内訳はPTO7例,BRTO3例,BRTO+PTO併用4例.治療対象は食道静脈瘤5例,胃静脈瘤4例,門脈大循環シャント3例,異所性静脈瘤2例である.年齢48歳~84歳(中央値65.5歳).男性10例,女性4例.背景肝疾患はHBV/HCV/PBC/other=1/7/1/5.肝予備能はChild-pughA/B/C=4/3/2.治療は静脈瘤の消失もしくは門脈大循環シャントの消失が得られるまでとした.術中に合併症を認めた症例は無く,入院日数は3日~20日(中央値8.5日).術後に発生した合併症はBRTO症例において腹水増加1例,食道静脈瘤悪化2例を認めた.治療後一カ月~二ヶ月後の肝予備能はChild-pughA/B/C=3/5/1.再発については食道静脈瘤症例一例で半年後に食道静脈瘤の破裂を認めたが,それ以外の症例については再発を認めていない.肝性脳症については全例でアンモニアの減少を認め,在宅加療が可能となった.PTO,BRTOを中心としたIVR治療は低侵襲であり,また肝予備能不良例や有腹水症例に対しても施行可能であり,侵襲的治療が困難とされる非代償性肝硬変症例の予後を改善すると考えられた.
索引用語