セッション情報 ポスター

肝硬変2

タイトル P-321:

難治性腹水に対する腹水濾過濃縮再静注法(CART)の当院における現状

演者 神野 秀基(三豊総合病院消化器内科)
共同演者 守屋 昭男(三豊総合病院消化器内科), 榮 浩行(三豊総合病院消化器内科), 吉田 泰成(三豊総合病院消化器内科), 安原 ひさ恵(三豊総合病院消化器内科), 遠藤 日登美(三豊総合病院消化器内科), 加地 英輔(三豊総合病院消化器内科), 幡 英典(三豊総合病院消化器内科), 今川 敦(三豊総合病院消化器内科), 中津 守人(三豊総合病院消化器内科), 安東 正晴(三豊総合病院消化器内科)
抄録 【目的】非代償性肝硬変による難治性腹水は腹部膨満感のため患者のQOLを著しく低下させる.一方で穿刺排液を繰り返すだけでは腹水中の蛋白の喪失による栄養状態の悪化が懸念されるが,アルブミン補充を無尽蔵に繰り返すことは保険診療においては困難である.今回我々は当院における肝硬変による難治性腹水に対する腹水濾過濃縮再静注法(CART)の現状について検討した.【方法】2011年1月以降にCARTを行った難治性腹水15例(男性11例,女性4例,平均年齢67.6±9.2歳)を対象とした.肝硬変の成因はB型肝炎2例,C型肝炎6例,アルコール性5例,非アルコール性脂肪肝炎2例であり,Child-Pugh分類はB 3例,C 12例であった.腹水再静注前には発熱予防のためステロイド投与を行った.CARTのみでは腹水コントロールが困難な場合には適宜アルブミンを補充した.【結果】平均観察期間は117±82日であった.総施行回数計55回であり,一症例あたりの平均施行回数は3.7回,CART一回あたりの腹水穿刺排液量は7.7±3.2L,総蛋白回収率は70%,アルブミン回収率は73%であった.CART実施により全例で腹部膨満感の消失が得られた.CART前後において収縮期血圧(前115±21 mmHg,後115±19 mmHg,P=0.894),脈拍数(前73±11回/分,後71±10回/分,P=0.136)に有意な変化を認めなかったが,動脈血酸素飽和度の改善を認めた(前95±1%,後97±1%,P<0.001).体温の上昇が認められたものの,軽度だった(前36.7±0.4℃,後37.0±0.6℃,P=0.005).予後であるが5例は肝予備能の改善が得られCARTを離脱し外来通院加療,3例は2週に一回程度のCART実施のため再入院繰り返し,7例は肝不全または肝臓癌の増悪で死亡された.【結論】本法は難治性腹水管理において簡便で安全な方法の1つであり,患者のQOL改善に対して有効であった.
索引用語