セッション情報 ポスター

肝硬変2

タイトル P-323:

非代償性肝硬変患者における特発性細菌性腹膜炎~プロトンポンプ阻害薬は危険因子となるか?~

演者 三浦 幸太郎(帝京大学医学部附属病院内科)
共同演者 三神 昌樹(帝京大学医学部附属病院内科), 山本 貴嗣(帝京大学医学部附属病院内科), 木村 聡(帝京大学医学部附属病院内科), 青柳 仁(帝京大学医学部附属病院内科), 安達 運(帝京大学医学部附属病院内科), 白井 告(帝京大学医学部附属病院内科), 磯野 朱里(帝京大学医学部附属病院内科), 江波戸 直久(帝京大学医学部附属病院内科), 阿部 浩一郎(帝京大学医学部附属病院内科), 立澤 直子(帝京大学医学部附属病院内科), 相磯 光彦(帝京大学医学部附属病院内科), 高森 頼雪(帝京大学医学部附属病院内科), 石井 太郎(帝京大学医学部附属病院内科), 田中 篤(帝京大学医学部附属病院内科), 久山 泰(帝京大学医学部附属病院内科), 滝川 一(帝京大学医学部附属病院内科)
抄録 【概要】特発性細菌性腹膜炎(SBP)は非代償性肝硬変患者にみられる合併症である.近年,プロトンポンプ阻害薬(PPI)使用がSBPのリスクを上昇させるという報告がみられる.今回われわれは当院の症例を対象とし,PPI使用がSBPのリスクとなるかについてレトロスペクティブに検討した.【方法】2009年4月以降当院に入院した症例中,血液・画像診断により肝硬変と診断され,かつ腹水を認め診断的腹水穿刺を施行した52例(男性36例)を対象とした.このうちSBP(腹水中好中球≧250/μl)と診断されたのは9例(男性6例)であった.このSBP 9例,および非SBP 43例を対象とし,SBPとPPI使用を含めたさまざまな臨床的因子との関連について統計学的に検討した.【結果】SBP 9例のうちPPI使用例・非使用例は8例・1例,非SBP 43例のうちPPI使用例・非使用例は24例・19例であり,SBP群においてPPI使用が高頻度ではあったものの,SBP発症とPPI使用との間に有意な関連はみられなかった(P=0.064).さらに,年齢・性別,Child-Pugh分類,入院時血液所見(WBC・Plt,PT%,CRP,Alb,T-bil,D-bil,AST,ALT,NH3),腹水所見(比重・Alb),合併症(肝性脳症,RC+・F2以上の静脈瘤,食道静脈瘤硬化療法歴,肝細胞癌)の有無,及び入院前カナマイシン投与歴の有無につき,SBPと非SBP群を比較したが,PT%値がSBP群において低値である傾向がみられた(P=0.053)ものの,有意なものはなかった.これらの因子を投入した多変量解析でも有意な危険因子は同定できなかった.【考察】今回の検討では,PPI使用とPT%値がSBPと関連がある傾向はみられたものの,SBP発症のリスクを有意に上昇させる危険因子は同定できなかった.しかしこれは症例数が少ないことが一因と思われ,今後症例数を増やして検討を進める予定である.
索引用語