セッション情報 |
ポスター
肝硬変2
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タイトル |
P-324:肝硬変患者における腸管C.perfringens感染症
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演者 |
福島 寿一(兵庫県立西宮病院内科) |
共同演者 |
松本 仁(兵庫県立西宮病院内科), 乾 由明(兵庫県立西宮病院内科) |
抄録 |
【目的】Clostridium perfringens(以下C.perfringens)はグラム陽性嫌気性桿菌で毒素を産生しガス壊疽を起こす.当院ではこれまで肝硬変症にC.perfringens感染を合併し著明な高NH3血症をきたした4症例を経験した.肝硬変症におけるC.perfringensの腸管保菌状況も併せて報告する.【症例1】57歳男性,多飲歴あり,吐血にて来院.食道静脈瘤と十二指腸潰瘍あり.入院中再吐血をきたし,NH3は926μg/dlまで上昇し昏睡状態となった.CHDF試行するもNH3は4300μg/dlまで上昇,永眠された.病理解剖では胃筋層の断裂と筋層内ガス,小腸粘膜面にもガス貯留の空胞が見られた.腸粘膜の培養検査でC.perfringensを検出した.【症例2】56歳男性.アルコール性肝硬変症で近医通院中に下血と意識混濁を呈し救急搬送された.JCS200,強いNH3臭あり.T.Bil:11.4 mg/dl,Alb:2.5 g/dl,PT:39%,NH3:900μg/dl.内視鏡で出血性胃炎を,腹部CTで大量腹水,肝萎縮,脾腫,著明な腸管ガス像を認めた.グルタミン酸アルギニン,ラクツロース,硫酸ポリミキシンBにて治療を開始.NH3:207μg/dlと低下するも意識レベル変わらず.ガス壊疽菌による腸管感染を疑い,ピペラシリンナトリウムの投与開始.NH3は102μg/dlに減少し意識清明となった.黒緑色便からC.perfringensを検出した.【考察】肝硬変症におけるC.perfringens保菌調査を当院で行った結果,便培養検査では健常者ボランティアではC.perfringensは0%(0/10例)であったが,血清Alb 2.0-3.0 g/dl以下の肝硬変では50%(6/12例),血清Alb 2.0 g/dl未満の肝硬変では70%(7/10例)に検出した.抗生剤使用やH2blocker・PPI使用による保菌率の有意差はなかった.【結語】肝硬変症,特にアルコール性肝硬変症はC.perfringens感染合併を高率に生じうる.肝硬変症患者ではプロバイオティクス,プレバイオティクスによる腸管内細菌叢の調整が必要である. |
索引用語 |
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