セッション情報 ポスター

肝 他2

タイトル P-329:

C型慢性肝疾患患者の代謝異常および肝線維化におけるIL-17の関与

演者 樋本 尚志(香川大学総合診療部)
共同演者 谷 丈二(香川大学消化器・神経内科), 三好 久昭(香川大学消化器・神経内科), 米山 弘人(香川大学消化器・神経内科), 犬飼 道雄(香川大学総合診療部), 合田 文則(香川大学総合診療部), 正木 勉(香川大学消化器・神経内科)
抄録 【目的】肥満によってIL-17の産生が亢進することが明らかになっている.また,非アルコール性脂肪肝炎の動物実験モデルにおいてIL-17が肝脂肪化を増悪させることも報告されている.一方,IL-17は肝線維化にも関与していることが動物実験モデルで示されている.今回,C型慢性肝疾患患者における血清IL-17値と肥満,インスリン抵抗性や肝脂肪化といった代謝異常または肝線維化との関連について検討した.【方法】対象はC型慢性肝疾患患者34例(慢性肝炎30例,肝硬変4例)である.対象患者における肥満およびインスリン抵抗性は,BMIおよびHOMA-IR値を算出してそれぞれ評価した.肝脂肪化の程度はBruntらの分類によって,肝線維化(staging)のそれは新犬山分類によってそれぞれ評価した.【成績】C型慢性肝疾患患者における血清IL-17値は,BMIやHOMA-IR値との間で有意な相関がみられなかった(BMI:r=0.124,p=0.4857,HOMA-IR:r=0.133,p=0.4754).しかしながら,肝脂肪化がgrade 2である症例のIL-17値(20.1±7.5 pg/ml)は,grade 0(10.9±8.0 pg/ml,p=0.0370)やgrade 1(9.9±10.1 pg/ml)の症例と比較して有意に高値であった.また,対象患者のstagingが進行するに従って血清IL-17値は上昇する傾向が認められた(F1:10.5±9.9 pg/ml,F2:12.3±10.3 pg/ml,F3:13.9±6.9 pg/ml,F4:19.3±4.3 pg/ml)が,F1~F4の間で有意差は認められなかった.興味深いことに,血清IL-17値は亜鉛値との間に緩やかな負の相関が認められた(r=-0.37,p=0.0372).なお,血清IL-17値とALT値との間にも有意な相関はみられなかった(r=0.029,p=0.8703).【結論】亜鉛欠乏を介して,IL-17はC型慢性肝疾患患者における肝脂肪化や線維化の進展に関与している可能性が示唆された.しかしながら,今回の検討では,IL-17の肥満やインスリン抵抗性への関与は明らかでなかった.
索引用語