セッション情報 ポスター

肝 他2

タイトル P-330:

血中間接ビリルビンはNAFLD発症に抑制的に作用する

演者 中村 友里(東京女子医科大学附属青山病院消化器内科)
共同演者 古川 真依子(東京女子医科大学附属青山病院消化器内科), 長原 光(東京女子医科大学附属青山病院消化器内科)
抄録 【目的】ビリルビンは生体内で抗酸化分子として作用する可能性がある.そこで間接ビリルビン値と非アルコール性脂肪肝(NAFLD)発症の関連性を明らかにすることを目的に解析を行った.【対象と方法】2008年に検診にて本院を受診し,その後2年間肝炎や溶血性貧血などを発症しなかった862人(女性309人,男性553人)を対象とした.脂肪肝は超音波所見により診断した.血中間接ビリルビン値により対象をA群(間接ビリルビン>;1.1mg/dl),B群(間ビ1.1-0.6mg/dl),C群(間ビ<0.6mg/dl)に分類し,脂肪肝の発症率,身体計測,生化学データを比較した.【結果】対象の男女別内訳(M:F)はA群38:12人,B群323:206人,C群192:91人であった.脂肪肝の発症率はA群21.1:8.3%,B群39.3:23.3%,C群43.2:23.1%で,男性で有意差を認めた(p<0.05).3群間で男女ともに有意差がありA群からC群になるにつれて増加したのはβグロブリン,Cr,FBS,HbA1C,WBCで,逆に低下したのはヘマトクリット,総ビ値,直接ビ値であった(p<0.05).これ以外に男性ではウエスト周囲径,体重,hs-CRP,Alp,総蛋白,α1グロブリンがAからCに移行するに従って増加し(p<0.01),総コレステロール,HDL-C,LDL-Cでは有意に低下した.興味深いことに女性ではAST,γ-GTPがAからCになるに従い低下した(p<0.05).【結論】間接ビリルビンが高くなるほど脂肪肝の発症率が低下し,脂質,糖代謝系が改善傾向にあった.特に男性ではこの傾向が顕著であった.間接ビリルビンの抗酸化作用により糖代謝,脂肪代謝が改善し脂肪肝の発症が抑制されるのではないかと推測された.男女別に有意差を示す項目が異なり,間接ビリルビンのNAFLDに対する関与には性差がある事が伺われた.
索引用語