セッション情報 ポスター

B型肝炎

タイトル P-333:

免疫抑制および化学療法患者におけるHBV再活性化の検討

演者 土島 睦(金沢医科大学消化器内科学)
共同演者 白枝 久和(金沢医科大学消化器内科学), 堤 幹宏(金沢医科大学消化器内科学)
抄録 【目的】B型肝炎対策ガイドラインに従ってHBVの再活性化予防のためにエンテカビルを投与した症例について,その予防効果および再活性化に関与する因子について検討した.【対象と方法】2006年3月から2012年3月の6年間にHBV再活性化予防のためにエンテカビルを投与した26症例を対象とし,患者背景,各種肝機能,病型,HBV関連マーカー,化学療法を受けることになった原疾患,免疫抑制剤,化学療法の種類およびエンテカビルの投与時期について検討を行った.【結果】26症例のうち再活性化を認めたのは8例で,エンテカビルによる予防効果は69.3%であった.再活性化を認めた症例と認められなかった症例では,性,年齢,肝障害の程度,原疾患,化学療法の種類,AST/ALT値,HBV-DNA量,エンテカビル投与時期には明らかな差は認められなかったが,HBe-Ag陽性率は再活性化例では有意に高値を示した.再活性化例について,生存症例と死亡症例についても同様に検討したが,死亡例全例はHBe-Ag陽性を示し,生存例全例が陰性であったが,他の因子に関しては明らかな差は認められなかった.なお,腎移植後,免疫抑制剤とステロイドを25年間投与後にHBs-Agが陽性化し,その2年後にde nove肝炎を発症した症例も認められた.【結語】化学療法・免疫抑制剤の投与前のHBe-Agが陽性であるか否かが,再活性化に最も影響を与える因子であるとともに,再活性化後の予後にも関与する因子であると考えられた.
索引用語