セッション情報 ポスター

B型肝炎

タイトル P-334:

当院当科における慢性関節リウマチ症例のHBV再活性化ハイリスクグループの検討

演者 荒川 泰雄(日本大学消化器肝臓内科)
共同演者 松村 寛(日本大学消化器肝臓内科), 中村 仁美(日本大学消化器肝臓内科), 林 順平(日本大学消化器肝臓内科), 楡井 和重(日本大学消化器肝臓内科), 山上 裕晃(日本大学消化器肝臓内科), 松岡 俊一(日本大学消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大学消化器肝臓内科)
抄録 【目的】近年の慢性関節リウマチ(RA)の治療法として定着している免疫抑制剤やステロイド,メトトレキセート(MTX),生物学的製剤は免疫機能を低下させ,これらの投与に伴うB型慢性肝炎ウイルス(HBV)再活性化が問題となっている.とりわけ再活性化時の重症化が懸念され,全症例のHBVスクリーニング検査とHBs-Ag陽性症例およびHBV-DNA陽性症例に対する核酸アナログ製剤の投与が本邦のガイドラインにも記載されている.我々はRA患者におけるHBV再活性化ハイリスク症例の囲い込み,実態解明と早期治療介入を目的として当院当科外来での該当症例の検討を行った.【方法】対象は2012年5~7月にかけて当院当科外来を受診したHBV感染既往者およびHBVキャリアーで,当院あるいは他院にてRAの診断と治療を受けている16症例である.(男6例女10例,平均66.6歳)治療としてプレドニゾロン(PSL)単独投与8例,PSL・MTX併用2例,MTX・生物学的製剤併用2例,生物学的製剤単独投与2例である.当科外来初診時あるいは抗HBV治療開始前の血算・生化学検査所見,経過中のHBV-DNA(TaqMan Real time PCR法)の検討を行った.【成績】16例中8例で全経過中にHBV-DNAのシグナル検出を認めた.いずれも核酸アナログ製剤にて治療介入を行い,重症化は認めなかった.HBV-DNA陽性化例と陰性例の間に年齢,性別,血算,T-Bil,AST,ALT,LDH,血清Alb値について有意差は認めず,HBs-Ag陽性例5例は全例が経過中のHBV-DNA陽性化を認め,HBs-Ab陽性例8例は全例で陽性化を認めなかった.HBV-DNAシグナル非陽性化例8症例では全例がHBs-Ag陰性,うち3例がHBs-Ab陽性であった.投与薬剤別では各群間にHBV-DNA陽性化の有意差を認めなかった.【結論】抗リウマチ薬はHBV再活性化のリスクだが,ガイドラインの推奨する投与前のHBVスクリーニング,HBV-DNAモニタリングと早期の治療介入で重症化は予防しうる.
索引用語