セッション情報 ポスター

B型肝炎

タイトル P-336:

当院におけるエンテカビル投与の現状と問題点

演者 五十嵐 秀人(立川綜合病院消化器内科)
共同演者 杉谷 想一(立川綜合病院消化器内科), 大関 康志(立川綜合病院消化器内科), 上野 亜矢(立川綜合病院消化器内科), 藤原 真一(立川綜合病院消化器内科), 小林 由夏(立川綜合病院消化器内科)
抄録 【目的】当院でエンテカビルを投与した症例について,安全性と効果,問題点を評価した.【方法】2006年12月から2012年8月まで,当院でエンテカビルを投与された28例の,臨床背景と投与後の副作用,ウイルスの陰性化率,投与前後での検査値の変動について検討した.【成績】背景は,(男17例,女11例),平均年齢は54.9(32~79),投与期間は,33.1(2~69)ヶ月であった.副作用は,5例(17%)で見られたが,3例は早期に消失し内服中止はなかった.慢性肝炎17例(61%),肝硬変11例(39%)組織は,F1/F2/F3/F4が,1/7/4/7例.Child-Pugh分類では,A 23例,B4例,C1例,肝硬変11例の平均は,6.27点であった.通院中の導入が26例で紹介による導入2例,受診契機は,自己受診が7例,紹介が11例であり,HBs抗原測定の契機は,有症状6例,肝機能異常3例,検診18例,家族歴1例であった.肝細胞癌は投与前で8例,内服後の再発は2例に見られた.HBV-DNAは投与後平均7.8ヶ月で陰性化し,最終的に85.7%で陰性化した.陰性化後に83%(20/24)で再陽性が見られたが,すべて定量閾値以下(<2.1 LC/ml)であった.ALTの正常化は,1ヶ月後20例(71%)でみられ,6ヶ月で全例が正常化した.投与前が,ALT 78.6±74 IU/l,Alb 3.86±0.6 IU/l,血小板13.6±4.7万/μlに対し,投与後は,ALT 22.5±14 IU/l,Alb 4.03±0.5 IU/l,血小板16.0±7.8万/μlで,ALTの有意な低下を確認した(p<0.0001).breakthrogh肝炎や耐性ウイルスの出現はなかった.当院のHBs抗原検査の陽性率は,1.14%であったが,新規キャリアは,一年間で29例(0.35%)が判明し,10例で定期追跡が開始されたが,19例が放置されており,将来的に適切な治療を行うためには,新規キャリアの確実なフォローが必要と考えられた.【結論】当院でもエンテカビルの安全性と有用性が確認出来た.紹介による導入はまだまだ少なく,病診連携の強化によるキャリアの新規発見と紹介率の向上,院内でのキャリアの適切な追跡が重要と考えた.
索引用語