セッション情報 ポスター

胆道癌 化学療法

タイトル P-360:

胆道癌発症における肝炎ウイルスの関与

演者 横田 雄大(山梨大学医学部第1内科)
共同演者 深澤 光晴(山梨大学医学部第1内科), 高橋 英(山梨大学医学部第1内科), 進藤 浩子(山梨大学医学部第1内科), 門倉 信(山梨大学医学部第1内科), 高野 伸一(山梨大学医学部第1内科), 佐藤 公(山梨大学医学部第1内科), 榎本 信幸(山梨大学医学部第1内科)
抄録 【目的】胆道癌は予後不良な疾患であり,予後改善のためには無症状期での早期発見が望まれる.そのためには高リスク群を同定し,定期的なサーベイランスを行うことが重要である.今回,胆道の危険因子としてウイルス肝炎の関与について検討した.【方法】2003年~2011年に当院で診療した胆道癌のうち肝炎ウイルスについて検討がなされた225例(肝内胆管癌59例,肝外胆管癌72例,胆嚢癌66例,乳頭部癌28例)を対象とし,ウイルス肝炎検査をうけた検診受診者8400人をコントロールとした.【結果】胆道癌における肝炎ウイルス陽性率は,全体でHCV抗体陽性10.2%(23/225),HBs抗原陽性1.3%(3/225)であり,検診受診者のHCV抗体陽性2.5%,HBV陽性0.9%と比べると,胆道癌では有意にHCV抗体陽性率が高く(p<0.01),HBs抗原陽性率には差を認めなかった.胆道癌の部位別にHCV抗体陽性率を検討すると,肝内胆管癌20.3%(12/59),肝外胆管癌4.2%(3/72),胆嚢癌9.1%(6/66),乳頭部癌7.1%(2/28)であり,肝内胆管癌において有意にHCV陽性率が高かった(p<0.01).HCV抗体陽性の肝内胆管癌12例のうち1例はC型慢性肝炎に対しインターフェロン+リバビリンによりSVRとなった6年後に発癌を認めた.他の11例のC型肝炎には抗ウイルス治療は施行していなかった.肝内胆管癌の形態分類別で検討すると,腫瘤形成型20.5%(8/39),胆管浸潤型6.3%(1/16),混合型肝癌75%(3/4)であり,腫瘤形成型,混合型肝癌においてHCV陽性率が高かった.肝内胆管癌の背景因子を検討すると,肝硬変6例(10.1%),アルコール多飲者10例(20.8%),喫煙30例(62.5%),糖尿病13例(23.2%)であった.【結語】肝内胆管癌の発症にC型肝炎の関与している可能性が示唆された.C型肝炎患者では肝細胞癌のみならず,肝内胆管癌も念頭に置いた腫瘍マーカーや画像検査によるサーベーイランスが必要である.
索引用語