セッション情報 ポスター

胆道癌 診断

タイトル P-366:

当院における早期胆管癌の検討

演者 碇 修二(北海道消化器科病院内科)
共同演者 町田 卓郎(北海道消化器科病院内科), 中村 英明(北海道消化器科病院内科), 堀田 彰一(北海道消化器科病院内科)
抄録 【目的】胆管癌の早期診断は一般的に困難であり,多くは進行癌の状態で発見されることが多く予後不良である.今回,我々が経験した早期胆管癌10例について臨床病理学的に検討を行った.【対象と方法】2004年から2012年8月までに当院にて切除を行った胆管癌は57例であり,そのうちの早期胆管癌10例(肝門部・上部3,中下部7)を対象とし,患者背景,発見契機,検査所見,画像診断,病理所見,予後等について検討した.【結果】性別は男7例,女3例で,平均年齢は68.7歳(48~86)であった.発見契機は腹痛3例,黄疸2例,食欲不振1例,無症状4例であったが,無黄疸8例中4例,無症状4例中2例では肝胆道系酵素の上昇を認めていた.腫瘍マーカー上昇は全例で認めなかった.各modalityによる腫瘍描出率はUS 60%(6/10),CT 90%(9/10),MRI 80%(8/10),EUS 87%(7/8)であったが,胆管拡張や胆嚢腫大などの何らかの間接所見は全ての症例で指摘しえた.術前病理学的診断に関しては,10例中9例にERC下の細胞診and/or生検を施行し,うち8例(89%)で悪性所見を得ることが可能であった.術式は,肝右葉尾状葉切除2例,右肝管切除1例,膵頭十二指腸切除5例,肝外胆管切除2例で,切除標本肉眼分類は,肝門部・上部ではIs 1例,IIa 1例,IIa+IIb 1例であり,中下部ではIs 3例,Ip 1例,Ip+IIb 1例,IIa 1例,IIb 1例であった.組織型は,tub1 6例,pap 3例,ud 1例で,深達度はm 4例(肝門部・上部1,中下部3),fm 6例(肝門部・上部2,中下部4)であった.進行度は全例stage Iで,根治度はA 7例,B 1例(HM1),C 2例(HM2,EM1,HM1,DM2が各々1例ずつ)であった.予後に関しては,術後53ヶ月で他病死した1例を除いた9例が無再発生存中であった(観察期間6~88ヶ月).【結論】早期胆管癌は予後良好と考えられ,いかに早期診断するかが重要である.無黄疸であっても,上腹部症状を有したり,肝胆道系酵素の上昇がみられる例が多いため,このような症例を積極的に画像検査に誘導していくことが,早期胆管癌発見のためには肝要であると考えられた.
索引用語