セッション情報 |
ポスター
胆道1
|
タイトル |
P-369:高齢化社会の急性胆嚢炎に対する治療戦略
|
演者 |
清野 隆史(慶應義塾大学病院消化器内科) |
共同演者 |
中村 雄二(慶應義塾大学病院消化器内科), 山岸 由幸(慶應義塾大学病院消化器内科), 日比 紀文(慶應義塾大学病院消化器内科) |
抄録 |
【目的】高齢者急性胆嚢炎は併存疾患などにて緊急手術対象とならない場合も多い.今回我々は65歳以上の高齢者胆嚢炎に対するPTGBAの有用性につきPTGBDと比較検討した.【方法】2003年10月から2012年7月の期間に当科で急性胆嚢炎に対してPTGBAあるいはPTGBDを施行した65歳以上の高齢者91例(平均年齢79.5歳(65~90),男性65例,女26例)を対象とし,PTGBA単独群と,PTGBA後にPTGBDを追加した群(PTGBD追加群),PTGBD単独群で,その治療効果,偶発症等について後ろ向きに比較検討した.【成績】PTGBA単独群20例,PTGBD追加群12例,PTGBD単独群59例であった.3群間で以下の項目について比較すると,平均年齢:78.6歳/82.1歳/77.6歳,平均CRP値(mg/dl):17.8/17.6/13.6,有胆石率(胆泥は除外):50%/66.7%/49.2%,胆石嵌頓率:0%/33.3%/28.8%,重症急性胆嚢炎の割合:15%/25%/10.2%,ドレナージ後の外科的切除率:40%/25%/28.8%であった.治療効果に関しては,初回治療がPTGBAである群(PTGBA単独群+PTGBD追加群):32例とPTGBD単独群:59例で比較すると,前者の改善率は93.8%(30/32)であり,後者は,腹腔内出血により緊急手術となった1例を除外すると,改善率は96.6%(56/58)であった.CRP改善率((診断時CRP-72時間後CRP)/診断時CRP値)はPTGBA単独群:57.9%,PTGBD単独群:14.8%であり,PTGBA単独群の方が改善率は高かった.胆汁培養にて高頻度に検出された菌種はKlebsiella sp.(35.1%),Enterococcus sp.(34.0%),Escherichia coli(24.5%)であり,1例あたりの平均陽性菌種数を比べると,PTGBA単独群:1.37種,PTGBD追加群:2.42種,PTGBD単独群:1.33種であった.偶発症はPTGBD単独群で8例,死亡例はPTGBA単独群で1例,PTGBD追加群で1例,PTGBD単独群で7例認めた.【結論】高齢者の急性胆嚢炎に対し,胆石嵌頓のない場合,偶発症,QOLの点からはPTGBAを第一選択とすることは妥当と思われるが,複数菌感染例はPTGBD追加を準備する必要があると考えられた. |
索引用語 |
|