セッション情報 ワークショップ7(消化器病学会・肝臓学会合同)

消化器疾患と性差

タイトル 肝W7-11:

当院30年間のA型急性肝炎における性差の検討

演者 長田 成彦(東海大大磯病院・消化器内科)
共同演者 加川 建弘(東海大・消化器内科), 峯 徹哉(東海大・消化器内科)
抄録 【目的】私たちは当院30年間のA型急性肝炎の動向をまとめた。90年をピークに発症数の減少を認めること、2000年以降の海外旅行、男性の割合の増加、高齢化、肝機能の悪化、肝外合併症の増加がしてきていることを報告してきた。慢性肝炎に関してはエストロゲンの関与が報告されている。性差に関して急性肝炎に対する報告は無い。今回、30年のA型急性肝炎において性差による臨床症状の違いがあるのかどうか検討した。【方法】1977年から2010年までに東海大学病院にA型肝炎、E型肝炎の診断で入院した患者を対象としました。AH-Aの患者を男性、女性に分けました。原因、症状、年齢、来院時ALT値、T.Bil値、PT活性値について2群間で比較を行なった。ALT値が100 IU/lになるまでの期間、T.Bil値が2mg/dlになるまでの期間を測定し、男女で差があるかどうか、Kaplan-Meier法、多変量解析をおこなった。【成績】A型肝炎の総数は187名、男性117名、女性70名であった。年令は男性:女性で38±12才、36±12才であった。原因は生牡蠣:魚介類:海外旅行:不明で、男性18:19:11:69、女性10:11:2:47であった。女性で海外旅行の占める割合が少なかった。入院時の肝機能データは男性:女性でALT 2361±2040、1880±1687 IU/L(p=0.98)、T.Bil 5.7±3.4、4.4±3.9 mg/dl(p=0.016)、PT活性87±25、88±22%(p=0.79)であった。女性で入院時のT.Bil値が有意に低かった。ALT値が100 IU/lになるのがより短縮するのはKaplan-Meier法で女性が有意であった(p=0.006)。多変量解析では女性が有意であった(p=0.004)。T.Bil値が2mg/dlになるのがより短縮するのはKaplan-Meier法で女性(p=0.039)、40才未満(p=0.001)であった。多変量解析では女性(p=0.04)、40才未満(p=0.001)が有意であった。【結論】A型急性肝炎において女性はALT値、T.Bil値が有意に短縮した。女性は男性に比較して治癒が早いと考えられた。
索引用語 A型急性肝炎, 性差