セッション情報 ポスター

胆道3

タイトル P-382:

無症候性先天性胆道拡張症に対する手術例の検討

演者 大谷 裕(松江市立病院腫瘍化学療法・一般外科)
共同演者 岡 伸一(松江市立病院消化器外科), 倉吉 和夫(松江市立病院消化器外科), 梶谷 真治(松江市立病院消化器外科), 河野 菊弘(松江市立病院消化器外科), 吉岡 宏(松江市立病院消化器外科), 金山 博友(松江市立病院消化器外科)
抄録 2009年4月~2012年9月の約3年半の間に4例の無症候性先天性胆道拡張症例を経験した.【症例1】59才,男性.2000年より扁桃癌にて当院定期通院中.2001年にCT検査で総胆管の拡張を指摘され,直後に施行されたERCPで総胆管拡張(戸谷Ic)と膵胆管合流異常を指摘された.2010年5月,総胆管の拡張を指摘され,分流手術の目的で当科へ紹介された.【症例2】56才,女性.脊柱管狭窄症の治療中に施行されたMRI検査にて総胆管の嚢状拡張を指摘され当院へ紹介された.2010年9月のMRCPにて膵胆管合流異常を伴う総胆管拡張(戸谷Ia)と診断され,手術目的で当科へ紹介された.【症例3】76才,男性.C型慢性肝炎で定期follow up中に施行された腹部超音波およびCT検査にて左肝管の拡張を指摘された.ERCPでは悪性の所見を認め無かったが,検査では診断が付かない悪性疾患の可能性もあり,2010年8月に外科治療目的で紹介された.術後に胆道拡張症(戸谷V)と確定診断された.【症例4】92才,女性.2008年2月,近医で施行された腹部超音波にて総胆管拡張(戸谷II)を指摘され,精査目的で当院へ紹介されたが,2011年2月に胆嚢内隆起性病変と総胆管の拡張増大を指摘され,手術目的で当科へ紹介された.【治療】3例に胆嚢摘出術+肝外胆管切除術+胆道再建術,1例で肝切除を施行した.症例4は術中迅速組織診で胆嚢癌(深達度SSの可能性が高い)と診断され,肝臓S4a+S5切除術を追加した.症例1,2には悪性所見を認めなかったが,総胆管上皮に軽度のdysplasiaを認めた.【まとめ】一般に先天性胆道拡張症例は症例1や2のように膵胆管合流異常症を合併していることが多く,胆道癌のhigh risk群との判断から胆道手術が行われる事が多いが,症例4のように合流異常を合併していないにもかかわらず胆道癌(胆嚢癌)を合併した例を経験し,発癌の機序を考える上で大変興味深かった.今回我々が経験した症例につき,本邦報告例の比較とともにその治療の概要を報告する.
索引用語