セッション情報 ポスター

胆道3

タイトル P-384:

重症急性膵炎後の腹腔鏡下胆嚢摘出術症例の検討

演者 渡辺 伸和(青森厚生病院外科)
共同演者 白戸 博志(青森厚生病院外科)
抄録 【目的】急性膵炎後の腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下,LC)では腹腔内の癒着が予想される反面,軽症胆石膵炎症例では積極的に導入されつつある.しかしながら,急性膵炎の診療ガイドライン2010における造影CT Grade分類で,重症と診断される症例の膵炎後のLCの報告例は少ない.当科で経験した重症急性膵炎後のLCの症例(以下,膵炎後症例)について,急性膵炎発症から手術までの期間,腹腔内所見,手術成績について検討した.【方法】平成22年1月から平成24年9月までに胆石症の診断にてLCを施行した症例は238例であった.そのうち,膵炎後症例の5例について検討した.【結果】男性2例,女性3例で,手術時の年齢は52才から78才であった.初診時の診断は胆嚢総胆管結石が3例,胆嚢結石が2例であった.急性膵炎の原因はERCPおよびEST後が2例,胆石膵炎が3例であった.造影CTで重症と判断されるGrade 2以上の症例はGrade 2が4例,Grade 3が1例であった.膵炎発症から手術施行までの平均期間は19ヶ月(2~59ヶ月)で,かなり隔たりがあった.術前のCTで膵臓の炎症が治まり,仮性嚢胞などの所見がないことを確認してから手術を行った.全例がLCで完遂できた.術者の判断になるが,癒着が軽度のものは4例で,胆嚢周囲の癒着が強かった症例は1例であった.この症例の癒着は胆嚢炎によるものか膵炎の影響かは定かでなかった.平均手術時間66(34~86分),平均出血量32 ml(2~5 ml),平均術後在院日数は9.4日(4~20日)であった.胆嚢周囲の癒着の強かった症例で,術後腹腔内膿瘍を認めたが,保存的に治療した.【結論】膵炎後症例は術前のCTで膵炎の所見が治まっていればLCが安全に行えると考えられた.しかし,術中の腹腔内所見では炎症や癒着が残っている場合があり,術前の画像診断だけでは限界があると思われた.また,膵炎発症から手術までの至適期間については今後の検討課題と考えられた.
索引用語