セッション情報 ポスター

胆道3

タイトル P-385:

胆嚢捻転症6症例の臨床的検討

演者 山本 悦孝(松江赤十字病院消化器内科)
共同演者 香川 幸司(松江赤十字病院消化器内科), 板倉 由幸(松江赤十字病院消化器内科), 山下 詔嗣(松江赤十字病院消化器内科), 原田 恵理奈(松江赤十字病院消化器内科), 花岡 拓哉(松江赤十字病院消化器内科), 實藤 宏美(松江赤十字病院消化器内科), 千貫 大介(松江赤十字病院消化器内科), 藤澤 智雄(松江赤十字病院消化器内科), 串山 義則(松江赤十字病院消化器内科), 内田 靖(松江赤十字病院消化器内科)
抄録 胆嚢捻転症は,肝床部の固定が不十分な遊離胆嚢の状態に物理的誘因が加わり,胆嚢頚部や胆嚢管で捻転を起こし血行障害により胆嚢に壊死性変化が急速に生じる病態で,緊急手術を要する重要な疾患であるが,診断の困難さもあり現在でも見逃されやすい疾患である.今回,当院で経験された胆嚢捻転症の6症例に対し臨床的検討を加え報告する.患者は男性1例,女性5例で,男性の年齢は40歳と若年であったが,女性は全例80歳以上の高齢者であった.6例とも嘔吐後に急激に発症した胆嚢炎様の急性腹症として救急外来を受診している.受診時の血液生化学検査で炎症所見は殆ど認められず,ビリルビン,AST,ALTは正常であった.全症例において腹部超音波検査が施行され,うっ血性変化を反映する著明な壁肥厚(壁内の液状低エコー)を認めたが,胆嚢内は無エコーであった.また,CT検査も全例に施行され著明な胆嚢腫大,胆嚢下垂(胆嚢の肝床からの偏位)を認め,胆嚢壁の造影効果は認められず胆嚢壁の血流障害が示唆された.臨床症状と画像上の特徴より胆嚢捻転症と診断し,緊急手術が施行された.病理学的には胆嚢内には胆石,胆泥は認められず,胆嚢壁は浮腫状に肥厚し,粘膜壊死を認めた.悪性所見は認められなかった.1例は胆嚢頚部と肝床の間に間膜が存在するGrossI型の遊離胆嚢で,他の5例は胆嚢管と肝床の間に間膜が存在するGrossII型遊離胆嚢であった.胆嚢捻転症は腹部激痛を呈するわりに血液生化学検査で炎症所見に乏しく,見逃しやすい疾患であり,急性胆嚢炎と診断されやすい.しかし,本症の臨床症状として突然の嘔吐,腹痛は特徴的であり,画像診断で急性胆嚢炎と鑑別可能である.今回,胆嚢捻転症の診断におけるポイントを経験症例を踏まえて報告する.
索引用語