セッション情報 ポスター

粘膜下腫瘍

タイトル P-389:

直腸GISTの治療戦略

演者 大沼 忍(東北大学胃腸外科)
共同演者 三浦 康(東北大学胃腸外科), 内藤 剛(東北大学胃腸外科), 工藤 克昌(東北大学胃腸外科), 羽根田 祥(東北大学胃腸外科), 長尾 宗紀(東北大学胃腸外科), 田中 直樹(東北大学胃腸外科), 佐々木 宏之(東北大学胃腸外科), 神山 篤史(東北大学胃腸外科), 林 洋毅(東北大学肝胆膵外科), 森川 孝則(東北大学肝胆膵外科), 吉田 寛(東北大学肝胆膵外科), 鹿郷 昌之(東北大学胃腸外科), 元井 冬彦(東北大学肝胆膵外科), 小川 仁(東北大学胃腸外科), 片寄 友(東北大学統合がん治療外科), 柴田 近(東北大学胃腸外科), 海野 倫明(東北大学消化器外科)
抄録 【背景】消化管で大腸に発生するGISTの頻度は10%程度と報告されている.外科的切除が治療の第一選択であるが,腫瘍が巨大で完全切除が難しい症例,多臓器合併切除が必要な症例が存在する.現在,直腸GISTに対する術前化学療法の有効性のエビデンスはないが,巨大直腸GISTに対し,グリベックを術前投与することで機能温存,縮小手術が可能になったとの報告が近年散見される.【目的】直腸GISTに対する治療戦略を考察する.【方法と結果】1996年1月から2012年5月までの間,当院で治療された直腸GIST症例は8例(男性4例,女性4例,平均年齢60歳[17-81歳])であった.平均腫瘍径は110 mm(37-180 mm)であった.8例中7例に手術が施行され,術式は,直腸切断術4例,低位前方切除術2例,腫瘤摘出術1例であった.平均手術時間515分(176-927分),平均出血量3100 ml(25-5450 ml)と手術侵襲が高度であった.7例中4例(57%)に合併切除が必要であった(膀胱1例,子宮付属器1例,精嚢1例,内腸骨血管1例).合併症は7例中5例(71%)に認めた(イレウス2例,創感染3例,神経陰性膀胱2例,静脈血栓症1例,重複あり).一方,手術を行った7例中1例では術前にグリベックが投与され(リンパ節転移のため),著明な腫瘍縮小効果(腫瘍径90 mm→50 mm)を認め,肛門温存手術が可能となった.また,手術未施行の1例は患者希望によりグリベックを投与中であるが,投与3ヶ月後のCTで腫瘍縮小効果(腫瘍径70 mm→55 mm)を認めている.【まとめ】巨大直腸GISTに対する手術侵襲は高度で合併症も多いのが問題である.腫瘍縮小を目的とした術前グリベック投与は,根治性を高めるとともに機能温存をはかるうえで有用な治療戦略と思われる.その場合,どのような症例にグリベックが有効かを見極めることが今後の課題である.
索引用語