セッション情報 ポスター

粘膜下腫瘍

タイトル P-390:

胃カルチノイドの3例

演者 中垣 卓(市立室蘭総合病院消化器内科)
共同演者 清水 晴夫(市立室蘭総合病院消化器内科), 石上 敬介(市立室蘭総合病院消化器内科), 伊東 文子(市立室蘭総合病院消化器内科), 山本 至(市立室蘭総合病院消化器内科), 那須野 正尚(市立室蘭総合病院消化器内科), 佐藤 修司(市立室蘭総合病院消化器内科), 金戸 宏行(市立室蘭総合病院消化器内科), 小西 康宏(市立室蘭総合病院臨床検査科), 今 信一郎(市立室蘭総合病院臨床検査科)
抄録 【はじめに】胃カルチノイドは,胃腫瘍の約0.4%程度と報告され,比較的まれな胃内分泌腫瘍である.近年は病理組織学的細胞異型度のみならず,疾患背景や高ガストリン血症の有無,腫瘍径,腫瘍数により予後が異なる事が明らかとなってきた.しかし本邦では治療法に一定の見解が得られておらず,施設ごとに治療選択が異なっている現状がある.今回我々は治療法の異なる3例の胃カルチノイド腫瘍を経験したので報告する.【症例1】65歳,男性.検診目的の上部内視鏡(以下GS)で胃噴門部後壁に15mmの粘膜下腫瘍(以下SMT)を認め,生検でカルチノイドと診断.血中ガストリン,セロトニン,Vitamine B12はいずれも正常範囲,抗内因子抗体,抗胃壁抗体は陰性であり,Rindiらの分類によるType IIIと診断した.胃全摘術,リンパ節廓清を施行した.【症例2】78歳,女性.検診目的のGSで胃体上部後壁に5mmのSMTを認め,生検でカルチノイドと診断.抗内因子抗体,抗胃壁抗体は陰性であったが,血中ガストリンの高値を認めType Iと診断した.内視鏡治療を選択したが,治療時の所見で病変が指摘できず経過観察となった.【症例3】57歳,男性.検診バリウムで異常を指摘されGSを施行.胃体下部後壁に10mmの中心陥凹を伴う立ち上がりなだらかな腫瘤を認め,生検でカルチノイドと診断.主病変以外にも胃内に微小なSMTを多数認めた.抗内因子抗体,抗胃壁抗体が陽性,血中ガストリン値も高値でありA型胃炎に伴うカルチノイド,Type Iと診断した.主病変と幽門洞の切除目的に腹腔鏡補助下幽門側胃切除を施行した.【考察】全例,高ガストリン血症の有無,腫瘍径,腫瘍数によるアルゴリズムを提唱しているGilliganらの治療指針に沿って治療を施行した.観察期間中央値は3か月と短期間であるが全例,無再発生存中である.しかし胃カルチノイドのリンパ節転移率は腫瘍径,及び深達度に相関するとの報告もあり,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語