セッション情報 ポスター

胃 ESD

タイトル P-399:

未分化型早期胃癌に対するESD及び手術症例の検討

演者 藤田 勲生(国立病院機構福山医療センター消化器内科)
共同演者 豊川 達也(国立病院機構福山医療センター消化器内科), 友田 純(国立病院機構福山医療センター消化器内科), 表 静馬(国立病院機構福山医療センター消化器内科), 岡本 明子(国立病院機構福山医療センター消化器内科), 宮阪 梨華(国立病院機構福山医療センター消化器内科), 渡邊 一雄(国立病院機構福山医療センター消化器内科), 寺尾 正子(国立病院機構福山医療センター消化器内科), 村上 敬子(国立病院機構福山医療センター消化器内科)
抄録 (目的)未分化型早期胃癌に対するESD及び手術症例の治療成績や病理組織学的特徴と転移を中心に検討し,未分化型早期胃癌に対する治療法を明らかにする.(方法)2002年から2011年の間に,福山医療センター,香川県立中央病院,三豊総合病院の3施設で,未分化型早期胃癌に対してESDを施行した36症例と,福山医療センターで手術を施行した68症例の治療成績について検討した.(成績)未分化型早期胃癌に対するESD症例は,腫瘍径中央値が15.0mmで,潰瘍合併例は3例であった.リンパ管侵襲は1例も認めず,31例(86.1%)で局所完全切除されていた.平均観察期間は794日であり,局所完全切除例の1例に局所再発を認めた.手術症例の検討では,m癌は31例で,平均腫瘍径28.4mm,潰瘍合併例は10例であった.sm癌は37例で,平均腫瘍径32.3mm,潰瘍合併例は25例であった.m癌では,潰瘍合併例でリンパ管侵襲を1例認めたがリンパ節転移はなく,sm癌では18例にリンパ管侵襲を認め,5例にリンパ節転移を認めた.m癌とsm癌を比較検討すると,腫瘍径に有意差は認めなかったが,sm癌のほうがm癌に比べて潰瘍合併例が有意に多く,脈管侵襲も有意に多くなっていた.次に今回対象の未分化型早期胃癌104例について検討すると,腫瘍径2cm以下で深達度M,潰瘍合併を認めない症例は40例あり,リンパ管侵襲は1例も認めなかった.また,104例におけるリンパ管侵襲関連因子を単変量解析すると,腫瘍径>2cm,深達度,潰瘍合併,組織型が有意に寄与していた.それらについて多変量解析を行った結果,腫瘍径>2cm[odds ratio(OR):4.94,95%C.I.:1.23~19.79]と深達度[OR:22.17,95%C.I.:2.56~192.18]が有意な危険因子であった.(結語)未分化型粘膜内癌に対するESDは,ガイドライン病変と同様に安全に施行されていた.リンパ管侵襲の危険因子が明らかとなり,2cm以下の未分化型粘膜内癌に対するESDは容認されると思われた.
索引用語