セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 症例

タイトル P-407:

急性胃粘膜病変合併し,保存的加療により回復した門脈ガス血症の2例

演者 井上 雅文(岡山赤十字病院消化器内科)
共同演者 小橋 春彦(岡山赤十字病院消化器内科), 矢部 俊太郎(岡山赤十字病院消化器内科), 安藤 智子(岡山赤十字病院消化器内科), 重歳 正和(岡山赤十字病院消化器内科), 橋本 健二(岡山赤十字病院消化器内科), 浅野 基(岡山赤十字病院消化器内科), 前島 玲二郎(岡山赤十字病院消化器内科), 横山 元浩(岡山赤十字病院消化器内科), 歳森 淳一(岡山赤十字病院消化器内科), 鶴見 哲也(岡山赤十字病院消化器内科)
抄録 【諸言】門脈ガス血症(以下PVG)は腸管壊死などに認められ,予後不良の徴候とされているため,緊急の外科的処置が必要になることも少なくない.近年,さまざまな原因や病態が報告され,必ずしもPVGは予後不良の病態との認識ではなくなってきている.今回,我々は急性胃粘膜病変を伴い,保存的加療により回復したPVGの2例を経験したので報告する.【症例1】79歳,男性.20XX年1月31日吐血と腹痛出現.近医より2月1日当院紹介受診.緊急腹部単純CT撮影したところ,拡張した胃とともに肝内門脈と上腸間膜静脈に著明ガス像を認めた.腸管壊死,上腸間膜動脈血栓塞栓などの明らかな所見はなく可能性は否定できなったが,基礎疾患が多数ありことから慎重に経過観察する方針となった.入院翌日の腹部CTでは門脈内ガスは消失しており腹部症状も改善傾向であったため,同日CO2送気で上部消化管内視鏡を施行した.胃前庭部後壁の広範囲に広がる急性胃粘膜傷害(以下AGML)を認め,PVGの原因と考えられた.保存的加療を継続し,症状改善を認めた.【症例2】65歳,女性.20XX年8月23日自殺企図に塩酸を多量摂取,当院救急受診.ICUにて気管内挿管,全身管理行った.入院時EGDでは食道から胃全体に重度の化学性食道胃炎が生じていた.入院時CTではPVGは認めなかった.全身状態安定にて9/8当科転科した.食道胃炎治癒過程における食道胃接合部狭窄を来していたため,9/30内視鏡的バルーン拡張術を行った.狭窄拡張後の胃内観察において胃前庭部後壁の潰瘍残存を確認した.拡張後腹部CT撮影したところ,肝内に著明なPVG認めた.残存したAGMLを介したPVGと判断し保存的に加療を行った.10/5腹部CTの再検査時には門脈ガスは消失しており,その後の経過も良好であった.
索引用語