セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 症例

タイトル P-410:

functional dyspepsia(FD)との鑑別が重要なCeliac artery compression syndromeの2例とその消化管運動機能異常

演者 楠 裕明(川崎医科大学総合臨床医学)
共同演者 畠 二郎(川崎医科大学検査診断学), 春間 賢(川崎医科大学消化管内科学), 塚本 真知(川崎医科大学総合臨床医学), 山下 直人(川崎医科大学総合臨床医学), 本多 啓介(川崎医科大学総合臨床医学), 井上 和彦(川崎医科大学総合臨床医学), 河合 良介(川崎医科大学検査診断学), 今村 祐志(川崎医科大学検査診断学), 眞部 紀明(川崎医科大学検査診断学), 藤田 穣(川崎医科大学消化管内科学), 垂水 研一(川崎医科大学消化管内科学), 鎌田 智有(川崎医科大学消化管内科学), 塩谷 昭子(川崎医科大学消化管内科学)
抄録 食後の上腹部痛を来たす器質的疾患のひとつにCeliac artery compression syndrome(CACS)があるが,本邦では疾患自体が一般的でないため,functional dyspepsia(FD)やfunctional abdominal pain syndrome(FAPS)と診断されることも多い.CACSの病態は腹腔動脈(CA)の血流障害とする説と,神経刺激のためとする説があるが,消化管運動異常を介した症状であるとする報告は見られない.今回われわれはCACSの2例を経験し,超音波法を用いてその消化管運動機能検査を評価した.【症例1】30歳代,女性.間欠的な右下腹部の鈍痛を主訴に受診.痛みは食事中に出現し30分程度持続した.造影CTや採血検査,腹部超音波検査(US),上部消化管内視鏡検査(内視鏡)で異常を認めず,約4ヶ月間外来でFDとして加療された.しかし,難治性であったため改めてUSによるCAの血流測定を行いCACSと診断した.CA根部の狭小化はUSおよび3D-CTで確認された.機能検査では近位胃の拡張能低下と十二指腸胃逆流の増加が指摘されたが,胃排出能と前庭部運動能は正常範囲内であった.【症例2】10歳代,女性.食直後に出現し約1時間持続する心窩部痛を主訴に受診.採血検査と内視鏡で明らかな異常は認めなかったが,USでCAの血流増加と呼気と吸気の血流の差からCACSと診断された.3D-CTではCA根部の狭小化は確認出来なかった.機能検査では近位胃の拡張能低下と十二指腸胃逆流の増加が指摘されたが,胃排出能と前庭部運動能は正常範囲内であった.【結語】2例のCACS患者はいずれも近位胃の拡張障害と十二指腸胃逆流の増加が認められ,CACSの症状発現に消化管運動異常が関与している可能性も考えられた.
索引用語