セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 症例

タイトル P-411:

腹腔内遊離ガス像を認めながら消化管穿孔がなかった汎発性腹膜炎3例の検討

演者 南部 弘太郎(さいたま市民医療センター外科)
共同演者 塩谷 猛(さいたま市民医療センター外科), 渡邉 善正(さいたま市民医療センター外科), 黒田 誠司(さいたま市民医療センター外科), 和田 由大(さいたま市民医療センター外科), 中島 嘉之(さいたま市民医療センター内科), 浅見 育弘(さいたま市民医療センター内科), 福田 重信(さいたま市民医療センター内科), 大竹 はるか(さいたま市民医療センター内科)
抄録 【目的】腹腔内遊離ガス像(free air)は消化管穿孔と診断し,緊急手術の適応を決める所見の1つである.今回,我々は腹腔内にfree airを認めたが,消化管に穿孔がなかった汎発性腹膜炎3例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.【症例】症例1は82歳の男性.主訴は腹痛と下血.左下腹部に圧痛を認めたが,反跳痛,筋性防御は認めなかった.CRP12mg/dl.CSで直腸からS状結腸にかけて多発縦走潰瘍を認めた.CS中に状態が悪化し,CTでfree airを認めたため緊急手術を行った.腹腔内に多量の膿性腹水を認めたが消化管に穿孔を認めなかった.症例2は71歳の男性.主訴は腹痛と嘔吐.腹部全体の圧痛と筋性防御を認めた.WBC 2300/ul,CRP 13mg/dl,HCV(+).CTでfree airを認め緊急手術を行った.腹腔内に多量の膿汁があったが消化管穿孔は認めなかった.肝臓は硬変肝だった.術後はSIRS,ARDSを惹起しMOFで第1病日に死亡した.症例3は68歳の男性.腹部全体の圧痛および筋性防御を認めた.WBC 21300/ul,CRP 51mg/dl.CTでfree airを認め緊急手術を行った.腹腔内に多量の膿汁が貯留し,回腸末端の腸間膜が一部壊死状態で膿汁が排出していたため回盲部切除を行った.病理診断で消化管穿孔を認めなかった.【結果】消化管穿孔以外にfree airを起こす疾患として特発性気腹症,腸管気腫症,気腫性胆嚢炎,気腫性膀胱炎,子宮留膿腫穿孔,特発性細菌性腹膜炎などが挙げられる.症例1と3は術中の腹水培養検査よりガス産生菌が同定され,free airを発生させたと思われた.症例2は肝硬変の所見があり,急激に状態が悪化したことから,特発性細菌性腹膜炎が原因と考えた.【結論】free airを認めても,外科的治療を必要としない症例もあり注意すべきであるが,今回の3症例はいずれも腹膜刺激症状,血液炎症所見があり腹膜炎を呈していたため手術適応があった.
索引用語