セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 症例

タイトル P-412:

院内発症の後腹膜腔出血の3例についての検討

演者 水島 麻依子(京都民医連中央病院消化器内科)
共同演者 神渡 翔子(京都民医連中央病院消化器内科), 木下 公史(京都民医連中央病院消化器内科), 田中 憲明(京都民医連中央病院消化器内科), 西田 修(京都民医連中央病院消化器内科)
抄録 【目的】当院において他疾患で入院中に後腹膜腔出血と診断した3例について,責任血管,出血の原因について検討する【症例1】70歳台 男性 【既往歴】統合失調症にて施設入所中 【経過】当院で誤嚥性肺炎加療中の第5病日に突然血圧低下・意識障害を認めた.腹部造影CTで後腹膜腔血腫の診断となり緊急腹部血管造影で膵十二指腸動脈にコイル塞栓術を施行した.血管炎や動脈硬化を来す基礎疾患は除外できたこと,血管造影で血管に数珠状の不整な拡張と狭窄を認めることからSegmental arterial mediolysisが原因と考えた.【症例2】70歳台 男性 【既往歴】慢性腎不全にて維持透析中 冠動脈狭窄に対してPCI後 抗血小板薬内服中 圧迫骨折(Th6,10)腰椎椎弓切除術【経過】心窩部痛にて受診,腹部CTでは原因となる所見を認めず,入院後の経過は良好であったが,退院直前の第20病日に突然の血圧低下,Hb低下を来たしたため腹部造影CTを施行したところ動脈性の活動性出血を伴う後腹膜腔内血腫と診断した.血管造影検査で右L3-5腰動脈からの出血と診断,コイル塞栓術を施行した.原因は,入院時に見られなかったL3椎体の圧迫骨折像が発症時に見られたこと,抗血小板薬の内服で止血が得られにくい状態にあったためと考えた.【症例3】60歳台 男性 【既往歴】脳梗塞後遺症 抗血小板薬内服中 【経過】頸椎症に対して整形外科で椎弓形成術を施行され,術後の経過は良好であったが第11病日に胆汁性嘔吐を繰り返したため腹部CTを施行した.後腹膜腔に血腫形成を認め十二指腸を圧排し通過障害を来していた.血圧低下は認めず保存的に加療し通過障害は改善した.原因としては,正中弓状靱帯症候群によるアーケード形成とその末梢血管側での血腫形成を認めており,抗血小板薬再開をしたことで血腫形成をきたすほどの出血をきたしたと考えた.以上,3例について検討したため文献的考察と併せて報告する.
索引用語