セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 症例

タイトル P-413:

当院における腸管気腫症の検討

演者 山下 拓磨(JA香川厚生連屋島総合病院内科)
共同演者 松岡 裕士(JA香川厚生連屋島総合病院内科), 細見 直樹(JA香川厚生連屋島総合病院内科), 小林 伸也(JA香川厚生連屋島総合病院内科), 桑村 英里(JA香川厚生連屋島総合病院内科), 阿河 直子(JA香川厚生連屋島総合病院内科), 渡邊 桂子(JA香川厚生連屋島総合病院内科), 小林 聖幸(香川大学医学部附属病院消化器・神経内科), 正木 勉(香川大学医学部附属病院消化器・神経内科)
抄録 【緒言】腸管気腫症(pneumatosis intestinalis:PI)や腸管嚢胞様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:PCI)は腸管壁の粘膜下層や漿膜下層に線状,嚢胞状のガスが存在する状態と定義されている.本病態の機序は確立されてはいないが細菌説や化学説,機械説,肺原説などが提唱されている.またしばしば腹腔内遊離ガスを伴うこともある.今回当院におけるPI,PCI症例について検討したので文献的考察を加えて報告する.【対象・方法】2004年1月~2012年9月の間で当院にて経験した4症例を対象とした.年齢や性別,基礎疾患,薬剤,腹腔内遊離ガスの有無などについて検討を行った.特に治療方針の決定に難渋する腹腔内遊離ガスを有する症例について過去の報告例と比較した.【結果】症例数は4症例であり男性:女性=2:2,平均年齢は68.5歳であった.2例は基礎疾患はなかったが,1例はボグリボースの内服と間質性肺炎,肺扁平上皮癌に対して手術+術後化学療法があり,1例はボグリボースの内服と結節性多発動脈炎に対して加療中であった.PIに伴う自覚症状を認めた症例は1例であった.また,腹腔内遊離ガスを伴っていたのは2症例であった.3例は経過観察で改善し1例は酸素投与で改善した.2004年1月~2012年9月の範囲にて医学中央雑誌にて「腸管気腫症」,「腹腔内遊離ガス」もしくは「free air」にて検索したところ78症例の報告がみられた.基礎疾患については悪性腫瘍や自己免疫疾患,呼吸器疾患,特発性など様々であった.薬剤投与についてはボグリボースや抗癌剤などがみられた.症状については無症状もしくは軽症のことが多いが,強い腹痛を伴うこともあり開腹して初めて診断された症例も認めた.【結語】PIやPCIでは自覚症状が乏しいことが多いが,腹部症状を有したり全身状態が不良な症例については消化管穿孔との鑑別が非常に困難な場合がある.腹腔内遊離ガスを認めた際には本病態も考慮に入れ精査,加療を進めることが肝要である.
索引用語