セッション情報 ポスター

胃癌

タイトル P-414:

幹細胞マーカーを用いた分化型早期胃癌の腫瘍増殖進展に関する免疫組織化学的検討

演者 千葉 隆士(東北大学消化器病態学分野)
共同演者 今谷 晃(東北大学消化器病態学分野), 浅野 直喜(東北大学消化器病態学分野), 金 笑奕(東北大学消化器病態学分野), 伏谷 淳(東北大学消化器病態学分野), 遠藤 博之(東北大学消化器病態学分野), 荒 誠之(東北大学消化器病態学分野), 飯島 克則(東北大学消化器病態学分野), 小池 智幸(東北大学消化器病態学分野), 下瀬川 徹(東北大学消化器病態学分野)
抄録 【背景・目的】分化型胃癌はH. pylori感染により腸上皮化生が進展する過程で生じるが,発癌機序は不明点が多い.一般に腫瘍は幹細胞に変異が生じ,初期の変異を維持しながらclonalに増殖し,新たな変異を獲得・蓄積していくと考えられる.近年,多くの幹細胞マーカーが同定され,癌の病態との関連が明らかとなっている.そこで幹細胞マーカーCD24,CD44,CD133と胃幹細胞制御遺伝子Sox2の発現の観点から,分化型早期胃癌で癌細胞がclonalに増殖進展しているか,また,Wnt/β-cateninシグナルの異常がこの進展に関与しているか検討することを目的とした.【方法】分化型早期胃癌92症例を対象に,CD24,CD44,CD133,Sox2,Cdx2,β-cateninに対する1次抗体を用いて免疫組織化学を行った.腫瘍腺管すべてに染色性を認めた症例をclonalな増殖(all+)症例とした.また,ヒト胃癌培養細胞株AGSに対してβ-catenin阻害剤によるCD24の発現変化についてFACSを用いて検討した.【結果】分化型胃癌92例のうちclonalな増殖を認めた症例は,CD24all+CD44-CD133-の表現型をとる2例(2.2%)とCD24-CD44all+CD133-の表現型をとる8例(8.7%)であった.β-cateninに関してはCD24all+CD44-CD133-胃癌2例も含め,6例(17.4%)で核内蓄積を認め,CD24陽性症例との間に有意な相関を認めた.in vitroの検討ではWnt/β-cateninシグナルを介してCD24は発現していた.また,CD24all+CD44-CD133-胃癌2例はいずれも胃型形質を示すSox2all+Cdx2-の表現型であった.【結論】ヒト分化型早期胃癌症例の1割でCD24all+CD44-CD133-あるいはCD24-CD44all+CD133-という表現型をとる癌細胞のclonalな増殖を認め,さらにCD24all+CD44-CD133-の表現型をとる胃癌では,Wnt/β-cateninシグナルの異常を伴い,胃型形質を呈する胃型胃癌の病態に関連していることが示唆された.
索引用語