セッション情報 ポスター

胃癌

タイトル P-416:

若年者胃癌の特徴と中・高年者胃癌との相違の検討

演者 山崎 琢士(東京慈恵会医科大学内視鏡科)
共同演者 加藤 智弘(東京慈恵会医科大学内視鏡科), 田尻 久雄(東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科)
抄録 (背景・目的)日常臨床で多く遭遇する中・高年者の胃癌に対して,若年者に発生する胃癌は性格を異にする.そのほとんどが未分化癌であり,進行が速く予後不良であるため,その特徴を理解しておくことが極めて重要である.(対象)当院で内視鏡ファイリングシステムが導入された2008年6月以降2012年8月までの4年3ヶ月間に,当院で内視鏡が施行され,組織学的に胃癌と確定診断された若年者胃癌(0-39歳)と,中・高年者胃癌への移行時期とも推測される40-45歳の胃癌症例について解析(計48症例)を行った.(結果)男女比については,0-39歳において7:9と女性が多かったが,40-45歳では,22:10と中・高年者胃癌と同じく男性が多かった.癌の存在部位では,L領域のみが,0-39歳では12.5%であったのに対して,43-45歳では42.8%で,遠位側胃癌は若年者に稀で,U・M領域の近位側癌が多かった.肉眼型では,早期胃癌・進行胃癌とも隆起型は皆無であり,表面陥凹型・浸潤型が主であった.組織型は純粋な分化型が14.6%に過ぎず,他は全て未分化型(混合型を含む)であった.深達度では,漿膜浸潤症例を全体の29.2%に認め,深部浸潤症例が多く認められた.脈管侵襲では,lyが30.4%に陽性で,vも10.9%に陽性であり,高度の脈管侵襲を認めた.また,手術症例におけるN因子は,28.3%に陽性であり,中にはESD適応拡大病変となり得る径15ミリ大の小未分化癌(N1)も存在し,若年者胃癌の治療方針決定には,十分な注意を要することが示唆された.さらに内視鏡観察にて萎縮性胃炎が存在せず,ヘリコバクターピロリ感染診断にて陰性と考えられた症例が一例存在したが,噴門部癌で食道浸潤をきたした症例であった.その他は全例ヘリコバクターピロリ陽性で萎縮性胃炎も存在した.(結語)若年者胃癌は,中・高年者胃癌と病態が異なり,胃癌治療ガイドラインのESD適応拡大病変でありながら,N陽性の早期胃癌症例も存在するため,治療方針決定及びその後の経過観察には慎重さを要する.
索引用語