セッション情報 | ポスター胃癌 |
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タイトル | P-417:胃癌患者におけるPD-1-PD-L1免疫抑制経路の検討 |
演者 | 齊藤 博昭(鳥取大学病態制御外科) |
共同演者 | 黒田 博彦(鳥取大学病態制御外科), 高屋 誠吾(鳥取大学病態制御外科), 福本 陽二(鳥取大学病態制御外科), 尾崎 知博(鳥取大学病態制御外科), 建部 茂(鳥取大学病態制御外科), 池口 正英(鳥取大学病態制御外科) |
抄録 | 【目的】T細胞に発現するPD-1は,リガンドであるPD-L1と相互作用することにより抑制性シグナルを惹起し,T細胞の免疫応答を負に制御する.この現象が癌の免疫逃避機構と関連することが報告されており,最近ではこれらの分子をターゲットとした抗体治療が癌に対する新たな免疫治療として注目されている.【方法】教室で手術を施行した40名の胃癌患者の末梢血や腫瘍組織を対象として,CD4およびCD8 Tリンパ球のPD-1発現や単球およびマクロファージのPD-L1発現をFASCにて検討した.さらにソーティングを行いPD-1発現によるTリンパ球の機能を解析した.【成績】1.末梢血CD4およびCD8 Tリンパ球のPD-1発現は健常成人と比較して胃癌患者で有意に高値であった.さらにCD4およびCD8 Tリンパ球のPD-1発現は早期癌患者と比較して進行癌患者で有意に高値であった.2.末梢血単球のPD-L1発現は健常成人と比較して胃癌患者で有意に高値であった.さらに早期癌症例と比較して進行癌症例において有意に高値であった3.末梢血CD4およびCD8 Tリンパ球のPD-1発現と単球のPD-L1発現との間には有意な正の相関関係が認められた.4.胃癌組織中のCD4およびCD8 Tリンパ球のPD-1発現は末梢血や正常組織と比較して有意に高値であった.5.胃癌組織中のマクロファージのPD-L1発現は末梢血や正常組織と比較して有意に高値であった.6.PD-1発現陽性CD4 Tリンパ球のIFN-γ産生はPD-1発現陰性CD4 Tリンパ球と比較して有意に低値であった.CD8 Tリンパ球においても同様の結果であった.【結論】胃癌組織におけるTリンパ球のPD-1発現は有意に上昇しており,これらの細胞の機能は有意に低下していた.また,Tリンパ球のPD-1発現と単球のPD-L1発現との間には有意な正の相関関係が認められ,胃癌患者において認められる細胞性免疫能抑制にPD-1-PD-L1免疫抑制経路が関与している可能性が示唆された.したがって胃癌患者においてもPD-1やPD-L1をターゲットとした免疫治療が有効な可能性があると考えられた. |
索引用語 |