セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 診断

タイトル P-421:

生検診断が腺腫であった病変に対する酢酸インジゴカルミン混和液(Acetic-acid Indigocarmine Mixture:AIM)の診断能についての検討

演者 河野 吉泰(岡山大学病院消化器・肝臓内科学)
共同演者 竹中 龍太(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 河原 祥朗(岡山大学病院消化器・肝臓内科学), 堀 圭介(岡山大学病院消化器・肝臓内科学), 川野 誠司(岡山大学病院消化器・肝臓内科学), 岡田 裕之(岡山大学病院消化器・肝臓内科学), 藤木 茂篤(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 山本 和秀(岡山大学病院消化器・肝臓内科学)
抄録 【目的】胃腫瘍性病変の生検診断は病変全体の評価ではないため,治療後の病理診断との間に解離が生じることがある.酢酸インジゴカルミン混和液(Acetic-acid Indigocarmine Mixture:AIM)による範囲診断は有用性が報告されており,胃癌病変の多くはAIM散布後に程度の差はあるが赤色変化する傾向が見られる.境界病変のうち胃癌を示唆する内視鏡所見として病変径,色調,形態が重要とされているが,AIMに関する検討は報告がない.我々は胃腺腫と生検診断された病変に対するAIMの診断能について検討した.【方法】2011年1月から2012年1月の期間で,術前生検で腺腫と診断されESDを施行した54病変(45症例)を対象とした.通常光での観察に続いてインジゴカルミンによる色素内視鏡を行った.その後色素を洗浄水で洗い流し,AIMを病変全体に散布し3分間表面の色調変化を観察した.病変部が全体あるいは部分的にでも周囲粘膜より赤く観察された場合,赤色変化ありと判定した.ESDを行う前に通常光にてA.病変径(2cm以上vs. 2cm未満),B.色調(正色・発赤調vs.白色調),C.形態(陥凹vs.平坦・隆起)の評価を行い,次にD.AIM散布後の赤色変化(ありvs.なし)を記録した.ESD後の病理組織結果を参照し,各項目における診断能について前向きに検討した.【成績】術後の病理組織は腺腫が31病変(57.4%),分化型癌が23病変(42.6%)であった.各評価項目の感度はA.47.8%,B.56.5%,C.21.7%,D.87.0%,特異度はA.77.4%,B.74.2%,C.83.9%,D.67.7%,正診率はA.64.8%,B.66.7%,C.57.4%,D.75.9%であった.多変量解析ではAIM所見のみが胃癌診断と有意に相関していた(オッズ比12.1,95%信頼区間2.35-62.0).【結論】AIMを使用した色素内視鏡は,生検で腺腫と診断された胃癌の診断に有用である可能性が示唆された.
索引用語