セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 診断

タイトル P-424:

西東京市医師会における胃がんハイリスク検診―運用までの試み―

演者 永田 靖彦(西東京市医師会)
共同演者 山口 康晴(杏林大学消化器内科), 平塚 龍太(西東京市医師会), 高原 佳憲(保谷厚生病院内科), 川瀬 吉彦(田無病院外科), 富永 達郎(佐々総合病院消化器科), 竹内 俊二(佐々総合病院外科), 坂上 信也(西東京市医師会), 石田 秀世(西東京市医師会)
抄録 [目的]近年胃がん発症にはHelicobacter pylori(Hp)感染の関与が明らかとなり慢性胃炎を念頭に置いた胃がん対策は新たな転換期を迎えることが推察される.当市の位置する東京北多摩北部医療圏おいても検診受診率低下,進行胃がん症例の増加が問題とされ対策が急がれる.こうした観点から我々は長年の構想を経て平成23年度より医師会公益事業として胃がんハイリスク検診を導入し運用を開始した.市内40~74歳の全特定健診受診者を受診対象としその後は行政の事業として継続する予定である.運用までには様々な作業と工夫を要した.その取り組みに加え検診結果の一部速報を報告する.[方法]導入に際して各関係部門に対して胃がんの現状,検診の趣旨を説明し理解を必要とした.対象は行政,議会,市民に及んだ.一方市内80数件の検診医療機関,検査会社に対しても周知等を行ない協力を得た.立ち上げに際しては医師会にチームを作り市の担当部署の協力のもと協議会を開催し事務行程を処理した.検査手順としては特定健診時の血清を利用しHp抗体,ペプシノーゲン値を測定しA~D群のリスク分類を行ない,高リスク者に対しては二次内視鏡検査の指導を行なった.[成績]平成23年度は全対象者の半数に実施した.一次検診受診者は7607名であり,うち内視鏡精密検査の受診者は1671名で精検受診率は44.8%であった.内訳として早期胃がん症例は20例(1.13%),進行胃がん症例は12例(0.71%)であった.[結論]対象者の半数に施行した初年度は高い受診率を得た.市民の関心が高い事が伺われた.また高いがん発見数を認めており当検診の有用性が期待され,今後の継続した検証が様々な角度から必要と考えられる.当検診の運用までには大変多くの苦労を伴いその問題点を共有する事で今後導入を検討する市町村医師会の一助になればと考える.
索引用語