セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 診断

タイトル P-425:

十二指腸隆起性病変で認められる白色化の臨床的意義の検討

演者 小野里 康博(しらかわ診療所群馬消化器内視鏡医療センター)
共同演者 蘇原 直人(しらかわ診療所群馬消化器内視鏡医療センター), 飯塚 春尚(しらかわ診療所群馬消化器内視鏡医療センター), 萩原 聡(しらかわ診療所群馬消化器内視鏡医療センター), 新井 理記(しらかわ診療所群馬消化器内視鏡医療センター), 伊藤 秀明(前橋赤十字病院病理部), 坂元 一葉(前橋赤十字病院病理部), 柿崎 暁(群馬大学病態制御内科学)
抄録 【目的】十二指腸隆起性病変の白色化(以下W)に注目し,早期十二指腸癌の内視鏡診断の可能性を検討する.【方法】生検または切除により病理学的診断された粘膜内癌12例,腺腫3例,非腫瘍5例を対象にNBI拡大内視鏡所見を比較検討した.癌は病変径中央値20mm(4~90),球部6例,下行部5例,球部~下行部の巨大病変が1例.この症例は5年以上経過観察後に手術.EMR2例,ESD8例,そのうち穿孔3例(2例クリップ縫合,1例手術).1例は高齢のため2年以上経過観察.腺腫は全て下行部,2回以上経過観察され著変なし.非腫瘍は多発リンパ濾胞1例,リンパ管拡張1例,過形成1例,胃上皮化生1例,正常粘膜1例.【成績】Wは発見の契機となりNBIで強調された.腫瘍のWは無し3例,全体型2例,部分型12例に分類されたが,観察時期が違うとWが変化し,食餌の影響による可逆性のものと考えられた.絨毛単位に観察すると,腫瘍Wは表面の吸収上皮細胞層(以下上皮)に存在し絨毛様表面構造(以下構造)を縁取りするように観察され,構造の不整,不均一が明瞭化し,癌は陥凹を有することが多かった.非腫瘍Wは上皮より深層にも存在し構造の中央部に観察され,正常の絨毛と同様に辺縁は透明感を持って観察された.腫瘍W部では微細血管構造(以下血管)が観察されず,非腫瘍Wでは正常な血管が観察された.腫瘍も非W部では血管が観察され,癌では口径不同に拡張した,走行異常を示す血管が観察され,腺腫の血管は口径不同,走行異常が軽微であった.癌のWの有無は病理学的には大きな差を認めなかった.【結論】Wは病変の発見に役立つが可逆性変化でWのない癌も存在し,Wだけでは病変の鑑別は難しい.NBIではWが強調され,拡大観察で構造内のWの存在部位および血管を観察することで,腫瘍・非腫瘍の鑑別は可能と考えられる.癌・腺腫の鑑別にWは有用ではなく,非W部での血管の観察が有用と考えられた.
索引用語