セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 H. pylori

タイトル P-429:

ピロリ菌感染診断用ELISA抗原の検討

演者 喜多 雅英(岡山大学病院消化器肝臓内科)
共同演者 横田 憲治(岡山大学大学院保健学科), 岡田 裕之(岡山大学病院光学医療診療部), 武 進(福渡病院内科), 神崎 洋光(岡山大学病院消化器肝臓内科), 小林 沙代(岡山大学病院消化器肝臓内科), 堀 圭介(岡山大学病院光学医療診療部), 筑木 隆雄(岡山大学病院消化器肝臓内科), 松原 稔(岡山大学病院消化器肝臓内科), 川野 誠司(岡山大学病院光学医療診療部), 那須 淳一郎(岡山大学病院消化器肝臓内科), 河原 祥朗(岡山大学病院光学医療診療部), 山本 和秀(岡山大学病院消化器肝臓内科)
抄録 目的)ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染は,日本人の約半数が感染し,特に70歳以上の高齢者は高い感染率である.この菌の感染は胃ガンの発症に関係しており,日本人の胃ガン発症率が高い理由の一つになっている.この菌の感染診断のための血清抗体価の測定は,簡便で健康診断にも用いられている.2009年ヘリコバクター学会のガイドラインにより,診断用抗原は,使う地域の菌株を用いることを推奨されているが,菌の様々な病原因子と診断用抗原としての有用性との関係は不明である.今回,遺伝子タイプの異なる日本人由来の菌株を抗原として,ELISA用抗原を作成し血清との反応性を検討した.材料と方法)血清検体はボランティアより得られた,91検体で市販の診断キット2つを用いて結果が一致した陽性47検体,陰性44検体を用いた.病原遺伝子の異なる菌株から抗原を抽出した.これらの抗原を液体培養し,ELISA用抗原としてビーズに固相化し使用した.結果)抗原を変えることによって,ELISAの反応性が変わったが,ほとんどの陽性陰性の結果は一致した.しかし市販キットでは陰性と判断されたが,抗原を変えると陽性になる検体が存在した.また#6のvacA変異株と#8の欧米株では,他の抗原と血清との反応性が大きく異なるため,診断用抗原には適さないと考えられた.他の複数の抗原ではキットで陰性の血清が,陽性に転化しているため,これまでのキットで偽陰性の検体が,抗原を選ぶことによって,正確に判定できる可能性が示唆された.結語)ピロリ菌の血清抗体価は,健康診断にも使える,非侵襲的な簡便な検査である.感度の良い抗原を使うことで,偽陰性や,擬陽性の検体を減らし,より正確な感染診断が可能になると考えられた.
索引用語