セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 H. pylori

タイトル P-430:

血清ペプシノゲン値・抗H.pylori抗体価とSydney systemによる胃炎評価との関連

演者 市川 仁美(浜松医科大学第一内科)
共同演者 杉本 光繁(浜松医科大学第一内科), 山出 美穂子(臨床腫瘍学講座), 魚谷 貴洋(浜松医科大学第一内科), 佐原 秀(浜松医科大学第一内科), 山田 貴教(浜松医科大学第一内科), 大澤 恵(光学医療診療部), 杉本 健(浜松医科大学第一内科), 古田 隆久(臨床研究管理センター)
抄録 【目的】血清ペプシノゲン(PG)値は胃炎のマーカーと言われているが,実際その数値の扱い方についてはABC検診の他では十分な検討がなされていない.そこで,Sydney systemによる胃炎の評価項目と血清PG値および抗H.pylori抗体価の関連について評価を行った.【方法】当院ピロリ菌胃癌リスク検診外来を受診した患者の中で,上部消化管内視鏡検査および血清PG値,抗H.pylori抗体価の測定が行われた93名を対象とした.内視鏡所見は1症例あたり3人の内視鏡医が無作為に割りつけられた内視鏡所見をそれぞれ評価した.評価方法は,C:噴門・穹隆部,M:体部,A:幽門前庭部の各部位でSydney systemの11項目について検討し,Sydney systemの各項目は所見の強さに応じて0~3の4段階でスコア化した.1症例あたり33個の評価項目の各スコアの中央値をとり,血清PG値および抗H.pylori抗体価との相関を評価した.【結果】PGIはC領域では血管透見性と,M領域では浮腫・血管透見性・ひだ萎縮と負の相関がみられた.PGIIはC領域では発赤・浸出液・ひだ過形成・壁内出血斑と,M領域では発赤・壁内出血斑と相関がみられ,すべて正の相関であった.PGI/IIはC領域の浮腫・発赤・浸出液,M領域の浮腫・ひだ過形成・血管透見性・壁内出血斑と相関がみられ,すべて負の相関であった.抗H.pylori抗体価はM領域の血管透見性とA領域の浮腫で負の相関を認め,C領域の壁内出血斑とは正の相関がみられた.平坦びらんや隆起びらんについては有意な相関は認められなかった.【結論】Sydney systemの胃炎パラメーターのうち,特にH.pylori感染に関連する項目については血清PG値や抗H.pylori抗体価との相関関係がみられた.血清PG値や抗H.pylori抗体価を測定することで,内視鏡検査が未施行でも胃炎の状態を推察できる可能性が示唆された.
索引用語