セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 H. pylori

タイトル P-433:

当院における特発性血小板減少性紫斑病のヘリコバクター・ピロリ除菌療法の検討

演者 小林 一彦(松阪中央総合病院胃腸科)
共同演者 玉井 康将(松阪中央総合病院胃腸科), 黒田 直起(松阪中央総合病院胃腸科), 矢田 崇純(松阪中央総合病院胃腸科), 原田 哲朗(松阪中央総合病院胃腸科), 金子 昌史(松阪中央総合病院胃腸科), 井口 正士(松阪中央総合病院胃腸科), 別府 徹也(松阪中央総合病院胃腸科), 直田 浩明(松阪中央総合病院胃腸科), 山中 猛成(松阪中央総合病院胃腸科)
抄録 当院は,三重県松阪市中心にある440床の中核病院でありヘリコバクター・ピロリ(HP)除菌療法の大半は当科で担当しているが,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者の除菌は行っていない.【目的】本邦においてHP感染症を有するITP患者に除菌療法を施行すると約半数で血小板増多を認めると報告され,H22年より保険適応となっているが各報告により有効性は様々である.今回当院におけるHP除菌療法の有効性および問題点につき後ろ向き調査を行った.【方法】H20年1月から本年6月までに当院血液内科でITPと診断された症例の中でHP陽性症例につき検討した.除菌療法を行った症例の内,他の薬物治療中の症例は除外した.治療効果判定は3か月後の血小板数が10万/μlを越えた例を完全奏功(CR),2万/μl以上の増多を部分奏功(PR),それ以外を効果無し(NC)とした.HP感染の診断は便中ピロリ抗原または血中抗体で,除菌判定はすべて便中ピロリ抗原であった.【結果】検討期間中のITP患者は34例で,年齢は20~91歳(平均68.4歳),男:女=15:19で,内HP陽性患者は14名,陰性患者は13名,不明7名であった.除菌療法後の治療効果としては評価可能症例8例中CR2例,PR2例,NC4例であり,PR以上の治療効果を認めた症例は全体の50%であった.HP除菌治療の副作用として肝障害,薬疹,下痢を認め,内2例が治療を中断している.また,HP治療後の除菌判定が施行されていない症例が13例中3例認め,HP陰性6例にも除菌療法が施行されていた.今回,年齢,性別,除菌までの期間の因子に関しては治療奏功率の明らかな差は認めなかった.【まとめ】今回の検討では当院でのITP患者における,HP感染者の除菌療法は有効性が高くITP治療ガイドラインの有用性が示された.ただ,HP感染および除菌判定が曖昧な症例もあり,今後消化器疾患以外のHP除菌療法適応疾患への消化器内科医の積極的な介入が必要性であると考えられた.
索引用語