セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 潰瘍・出血

タイトル P-437:

低用量アスピリンとクロピドグレル併用時における胃粘膜傷害と酸分泌抑制薬による予防効果

演者 魚谷 貴洋(浜松医科大学内科学第一講座)
共同演者 杉本 光繁(浜松医科大学内科学第一講座), 市川 仁美(浜松医科大学内科学第一講座), 佐原 秀(浜松医科大学内科学第一講座), 大澤 恵(浜松医科大学内科学第一講座), 杉本 健(浜松医科大学内科学第一講座), 古田 隆久(浜松医科大学臨床研究管理センター)
抄録 【目的】低用量アスピリン(LDA)やクロピドグレル(Clo)などの抗血小板薬起因性消化管粘膜傷害は,胃内pH値に依存することが知られている.しかしながら,これら併用時おけるプロトンポンプ阻害剤(PPI)やヒスタミン受容体拮抗剤(H2RA)の予防効果の比較検討は少ない.我々は,LDAとCloの2つの抗血小板薬併用時における胃粘膜傷害と,これに対する酸分泌抑制薬の予防効果を,H. pylori(HP)感染の有無を踏まえて前向きに検討した.【方法】健常ボランティア20名(HP陽性者10名,陰性者10名)を対象に,LDA100mg+Clo75mg(AC),LDA+Clo+ファモチジン(FAM)40mg(ACH),LDA+Clo+ラベプラゾール(RPZ)10mg(ACR)をそれぞれ7日間投与し,投与7日目に上部消化管内視鏡検査,胃内pHモニタリング検査を施行した.粘膜傷害はModified LANZA Score(MLS)を用いて評価し,HP感染や胃粘膜傷害の性状別に評価をした.【結果】抗血小板薬併用投与(AC)により高度の胃粘膜傷害を認めたが[3.0(0.0-4.0)],RPZはFAMよりも胃内pHを有意に抑制することにより[RPZ 5.60(3.78-7.78),FAM 3.55(1.80-7.38),p<0.01],胃粘膜傷害も有意に抑制した[PRZ0.7(0.0-2.7),FAM[1.0(0-3.3)],p<0.05].HP陽性者における粘膜傷害の抑制効果は,H2RAと比較しPPIで顕著であった[RPZ 0.67(0.0-2.3),H2RA 1.8(0-3.0),p<0.05].MLSを粘膜傷害スコアと出血スコアに分割したところ,HP陽性者は出血スコアが高い傾向を認めたが,RPZはHP感染の有無に関わらず,有意に出血スコアを抑制した(HP陽性者:p<0.01,陰性者:p<0.05).【結論】LDAとCloの抗血小板薬併用による胃粘膜傷害の重症度は,胃内pH値に依存し,HP感染に関わらずPPI投与により効果的に抑制された.LDA単独投与時と同様に,併用投与時にもPPIの使用が推奨されるべきである.
索引用語