セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 潰瘍・出血

タイトル P-438:

透析患者における上部消化管出血(胃,十二指腸出血)の現状とその問題点

演者 曽我 幸一(西陣病院消化器内視鏡センター)
共同演者 葛西 恭一(西陣病院消化器内視鏡センター), 稲垣 恭和(西陣病院消化器内視鏡センター), 小林 由佳(西陣病院消化器内視鏡センター), 金光 大石(西陣病院消化器内視鏡センター), 坂本 京子(西陣病院消化器内視鏡センター), 竹中 信也(西陣病院消化器内視鏡センター), 柳田 國雄(西陣病院消化器内視鏡センター), 今田 直樹(西陣病院腎臓・泌尿器科), 伊谷 賢次(西陣病院消化器内視鏡センター), 八木 信明(京都府立医科大学消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医科大学消化器内科)
抄録 【背景・目的】日本透析学会によると,2011年末で透析患者は30万人に達し,現在も増加している.新規透析患者の原疾患第一位は糖尿病性腎症で44.2%を占め,初めて透析患者の原疾患割合でも36.6%で第一位となった.今後も増加する透析患者における消化管病変の特徴は知っておくべき事項である.今回当院透析患者における上部消化管出血(胃,十二指腸領域)の現状と問題点を報告する.【結果】上部消化管内視鏡検査2599例/年施行され,透析患者395名のうち,透析患者が占める割合はのべ88件(検査の3.4%),65名(透析患者の16.5%)であった.上部消化管出血を疑い,実際に胃十二指腸出血を認めた症例は,胃十二指腸炎,潰瘍,GAVE/DAVEが主な原因であった.非透析患者と透析患者における非出血性胃十二指腸潰瘍の割合は,非透析:透析=19%:18%(p=N.S.)であったが,出血性胃十二指腸潰瘍は0.37%:2.33%で有意に透析患者が多かった(p<0.01).酸分泌抑制剤は2006年以降PPIが第一位となり,現状ではPPIないしH2RAを多くの患者が内服している.一方で長期透析患者が増加することで,高齢化の進行,動脈硬化性疾患が増加し,抗血小板薬内服率は50%,NSAIDs内服率は15%を越えている.【結語】当院における上部消化管出血の現状とその問題点を検討した.透析患者における上部消化管出血の特徴,問題点として,(1)出血性胃十二指腸病変が起きてから,初めて検査されることが多い,(2)抗血小板薬,NSAIDs内服率が高い,(3)大半の症例にPPIないしH2RAが処方されていることである.今後,いかに透析患者に上部消化管出血を来す前に高リスク群を予期できるか,積極的に内視鏡検査を受診してもらうか,が大きな課題である.当院での経験を提示し,現状と問題点を検討する.
索引用語