セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 潰瘍・出血

タイトル P-439:

住所不定者における胃十二指腸潰瘍の臨床像についての検討

演者 瀧田 麻衣子(東京都済生会中央病院内科)
共同演者 中澤 敦(東京都済生会中央病院内科), 岸野 竜平(東京都済生会中央病院内科), 岩崎 栄典(東京都済生会中央病院内科), 泉谷 幹子(東京都済生会中央病院内科), 塚田 信廣(東京都済生会中央病院内科)
抄録 【目的】当院は住所不定者等の保護を要する者が入院する専門病棟を有している.同病棟の胃十二指腸潰瘍患者にはH.pylori感染が少なく,巨大な潰瘍が多い印象があり,その臨床像を明らかにすることを目的とした検討を行った.【方法】2011年度の同病棟入院患者において上部消化管内視鏡にて胃十二指腸潰瘍を指摘された32名(以下保護者群)を路上生活者群18名と簡易宿舎居住群14名に分け,同期間に消化器内科病棟に胃十二指腸潰瘍で入院した男性患者35名(以下非保護者群)と患者背景およびH.pylori感染の有無,止血術の有無,輸血の有無,潰瘍の大きさについて比較検討を行った.【結果】年齢,併存疾患を有する割合,喫煙の有無,飲酒の有無については両群間に有意差を認めなかった.入院時の血清アルブミン値については保護者群において低値の傾向にあったが,有意差は認められなかった.抗血小板薬・抗凝固薬・NSAIDの内服については非保護者群で有意に高率であった.H.pylori感染の有無については路上生活者群が他の2群に比べ低率であったが有意差は認められなかった.また,止血術と輸血の有無については非保護者群が高率であったが,有意差は認められなかった.また潰瘍の大きさについては2領域以上にまたがる潰瘍が路上生活者群で有意に高率であった.【考察】路上生活者群においてH.pylori感染率が低く,非H.pylori・非NSAID潰瘍が多い傾向が認められたが,潰瘍をきたす原因は不明であった.H.pyloriの感染獲得はほとんどが小児期であり現時点での衛生環境の影響は少ないものと考えられたが,免疫異常や低栄養により低抗体価となり偽陰性を呈した可能性が否定できなかった.また,保護者群は一般的に症状が強くならないと医療機関を受診しない傾向があり,潰瘍が巨大化してから来院していることが予想された.
索引用語