セッション情報 ポスター

門脈圧亢進症

タイトル P-441:

未破裂脾動脈瘤3例に対する経カテーテル的脾動脈瘤塞栓術の検討

演者 吉野 雄大(佐野厚生総合病院消化器内科)
共同演者 岡村 幸重(佐野厚生総合病院消化器内科), 小林 真介(佐野厚生総合病院消化器内科), 亀山 直史(佐野厚生総合病院消化器内科), 白石 貴久(佐野厚生総合病院消化器内科), 上原 淳(佐野厚生総合病院消化器内科), 佐伯 恵太(佐野厚生総合病院消化器内科), 寺元 研(佐野厚生総合病院消化器内科), 石原 克俊(佐野厚生総合病院放射線科)
抄録 当院で経験した未破裂脾動脈瘤に対し,経カテーテル的脾動脈瘤塞栓術が有効だった3例について報告する.うち1例は脾動脈瘤破裂をきたした症例であり,経カテーテル的脾動脈瘤塞栓術の適応について検討した.【症例1】80歳男性.アルコール性肝硬変で経過観察中に施行した腹部造影CT検査にて,径2.0cm大の脾動脈瘤を認め,経カテーテル的脾動脈瘤塞栓術を施行した.治療後3年間は脾動脈瘤の再発は認めていない.【症例2】52歳男性.C型肝炎で当院通院中.血小板減少が著明であり,肝硬変に伴う脾機能亢進を認めた.インターフェロン(IFN)導入前に行った腹部造影CT検査で径2.1cm大の脾動脈瘤を指摘された.脾機能亢進と脾動脈瘤に対し,部分的脾動脈塞栓術(PSE)と経カテーテル的脾動脈瘤塞栓術を施行した.治療後3年間は脾動脈瘤の再発は認めず,脾機能亢進も改善されIFN導入となった.【症例3】66歳男性.11年前よりC型肝炎,肝硬変で加療中.6年前の腹部造影CT検査で径2.0cm大の脾動脈瘤を指摘され,経カテーテル的脾動脈瘤塞栓術を施行した.治療4年後に径0.8cm大の脾動脈瘤再発を認めたが,径1.0cm未満の動脈瘤であり,経過観察とされた.同年,脾動脈瘤破裂による出血性ショックで当院に救急搬送され,経カテーテル的脾動脈瘤塞栓術を施行した.責任病変の他に3ヶ所の脾動脈瘤を認め,待機的に経カテーテル的脾動脈瘤塞栓術を追加した.治療後2年間は脾動脈瘤の再発は認めていない.【考察】脾動脈瘤は主に肝硬変に伴う門脈圧亢進に起因する.一般的に破裂リスクの高い径2cm大以上の動脈瘤には経カテーテル的脾動脈瘤塞栓術または外科的治療が選択されている.脾動脈瘤破裂の致死率は本邦で36%,欧米で25%と報告されている.本症例では径2cm未満の脾動脈瘤も破裂をきたしたことから,径2cm未満の症例に対しても背景肝を考慮した上で経カテーテル的脾動脈瘤塞栓術等の治療を検討すべきと考えた.
索引用語