セッション情報 ポスター

門脈圧亢進症

タイトル P-446:

当科におけるアルコール性肝硬変症例の食道胃静脈瘤治療成績の検討

演者 藤野 靖久(岩手医科大学救急医学講座)
共同演者 井上 義博(岩手医科大学救急医学講座), 小野寺 誠(岩手医科大学救急医学講座), 菊池 哲(岩手医科大学救急医学講座), 遠藤 重厚(岩手医科大学救急医学講座), 鈴木 一幸(岩手医科大学消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】当科におけるアルコール性肝硬変症例の臨床像,治療成績,長期予後を検討し,さらなる成績向上を目指す.【対象および方法】1998~2002年に当科でEOによる内視鏡治療を行ったアルコール性肝硬変による食道胃静脈瘤症例のべ82例(年齢35~77,平均53.4歳,男女比78/4)を対象とした.1)原因別にアルコールのみの60例とアルコール+ウイルス22例の比較を行った.2)アルコールのみが原因の症例について,出血例32例と予防例28例の比較を行い,3)さらに精神科介入のない45例と介入あり10例の比較も行った.【成績】1)アルコールのみ群の平均年齢は54.4歳,アルコール+ウイルス群50.4.男/女は56/4,22/0.初発/再発は26/28,9/10.出血例/予防例は32/28,13/9.累積非出血率(1年/2年/3年)は67.8%/57.3/57.3,65.1/52.1/52.1.累積生存率(1年/5年/10年)は85.4/74.2/67.0,43.4/36.2/36.2(p<0.01).2)出血例の平均年齢は52.4,予防例56.7.男/女は29/3,27/1.初発/再発は10/17,16/11.累積非出血率(1年/2年/3年)は52.2/40.2/40.2,86.2/78.4/78.4(p<0.01).累積生存率(1年/5年/10年)は76.9/62.5/62.5,95.8/90.2/70.9.3)精神科介入なし群の平均年齢は55.3,あり群52.3.男/女は43/2,8/2.初発/再発は20/19,6/4.出血例/予防例は26/19,3/7.累積非出血率(1年/2年/3年)は65.3/54.9/54.9,87.5/87.5/87.5,累積生存率(1年/5年/10年)は82.8/68.7/63.4,88.9/88.9/59.3【結論】アルコール+ウイルス群の長期予後は不良であった.予防治療例は出血再発率が低く,長期予後もよい傾向にあり,その有効性が確認された.精神科介入例は予防治療の割合が多く,出血再発率が低い傾向にあったが,長期予後には関与しなかった.アルコール性肝硬変症例の治療成績向上には,精神科介入とそれにより予防治療例を増やすことが必要と思われた.
索引用語