セッション情報 ポスター

胃癌 化学療法2

タイトル P-455:

全身化学療法で播種性骨髄癌症によるDICの改善を認めた2例

演者 磯崎 豊(松下記念病院消化器科)
共同演者 安田 知代(松下記念病院消化器科), 山西 正芳(松下記念病院消化器科), 酉家 章弘(松下記念病院消化器科), 沖田 美香(松下記念病院消化器科), 長尾 泰孝(松下記念病院消化器科), 小山田 裕一(松下記念病院消化器科)
抄録 【症例1】67歳,男性.57歳時に他院で胃癌(por+sig,T1N2M0,StageII)に対して幽門側胃切除術を施行.UFTによる術後化学療法を1年間施行した.2010年4月下旬より血小板減少,ALPの上昇傾向を認め,精査目的に当院紹介となる.厚労省研究班の播種性血管内凝固症候群(以下DIC)診断基準で8点,CA19-9の上昇を認め,悪性疾患の関与が考えられた.胸腹部CTや上・下部消化管内視鏡検査で異常は無かったが,FDG-PETで多発性骨転移を認め,骨髄生検から胃癌による播種性骨髄癌症と診断した.S-1/CDDP併用療法を開始したところ,DICスコアの速やかな改善(3点)を認め,退院となった.しかし3コース終了後にDICの再燃を認め,化学療法のレジメンをS-1/CPT-11に変更し治療したが,低酸素血症を生じ,初診から第149病日目に死亡された.死後の病理解剖でpulmonary tumor thrombotic microangiopathy(PTTM)による肺高血圧症が死因と考えられた.【症例2】45歳男性.腰背部痛とDICの精査目的に入院となる.CTで全身のリンパ節腫脹を,FDG-PETで下行結腸の壁肥厚部位と骨に多数の異常集積を認めた.引き続き施行された大腸内視鏡検査で下行結腸の低分化腺癌と確定診断された.DICは播種性骨髄癌症が原因と判断し,mFOLFOX6による全身化学療法を開始した.開始後1コースでDICから離脱するとともに腰背部痛も軽快した.初診から第230病日目に癌性リンパ管症のため死亡されたが,DICの再燃は認めなかった.【結語】播種性骨髄癌症は,ほとんどが発症後2-3ヶ月以内に死亡する予後不良の疾患と報告されている.自験例では全身化学療法を施行することで2例とも速やかにDICから離脱し,QOLの改善にも大きな効果があった.
索引用語