セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 治療

タイトル P-462:

十二指腸内視鏡治療の穿孔例の検討

演者 飯塚 春尚(しらかわ診療所群馬消化器内視鏡医療センター)
共同演者 小野里 康博(しらかわ診療所群馬消化器内視鏡医療センター), 萩原 聡(しらかわ診療所群馬消化器内視鏡医療センター), 蘇原 直人(しらかわ診療所群馬消化器内視鏡医療センター), 新井 理記(しらかわ診療所群馬消化器内視鏡医療センター), 鏑木 大輔(しらかわ診療所群馬消化器内視鏡医療センター), 柿崎 暁(群馬大大学院病態制御内科学), 郡 隆之(利根中央病院外科)
抄録 【はじめに】消化管に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は表在性腫瘍治療に大きな進歩をもたらした.高解像度内視鏡の開発により十二指腸の表在性腫瘍性病変の発見が多くなり,内視鏡治療が行われる機会が増加しているが,十二指腸は筋層が薄く粘膜下層が疎でブルンネル腺の存在により,ESDは困難を極める.さらに,膵液,胆汁等の暴露もあり遅発性穿孔,穿孔による後腹膜への炎症の波及から様々な合併症を来すので慎重な手技を要する.今回我々が経験した十二指腸治療の穿孔例を検討しその対策について考察する.【対象】われわれが施行した十二指腸内視鏡治療症例で,2004年7月から2012年8月まで当施設および他施設で施行した十二指腸腫瘍に対するESD7例およびEMR3例で治療対象は十二指腸癌7例,カルチノイド3例である.【結果】穿孔率は40%(4例/10例)(以下同様に表記).穿孔率は部位別に球部33.3%(3/9),下行脚100%(1/1).腫瘍別に癌42.8%(3/7),カルチノイド33.3%(1/3).手技別ではESD 42.8%(3/7),EMR 33.3%(1/3)であった.穿孔に対する治療はクリップ縫合3例(保存的治療),緊急手術1例.穿孔に伴う合併症は保存的治療例ではなかったが,手術例で後腹膜膿瘍とそれに伴う右尿管狭窄が合併し約6ヶ月の入院を要した.保存的治療群は経鼻胃管を十二指腸下行脚に留置し,禁食,抗生剤投与をおこなった.死亡例はなかった.【結語】穿孔時には厳重な経過観察と十分な説明が重要である.特に後腹膜側への炎症の波及は難治性になることがあり,直後のCTだけの評価は危険であり,その後の厳重な経過観察が必要である.穿孔予防および穿孔対策を予め十分考慮し,遅発性穿孔予防として切除後潰瘍の保護目的にクリップ縫合,穿孔対策として炭酸ガス送気,穿孔部位のクリップ閉鎖,外科医との緊密な連携を行い,十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療を行うことが重要である.
索引用語