セッション情報 ポスター

肝 基礎

タイトル P-465:

NASHにおけるBallooned hepatocyte発生機序に関わる基礎的検討;Caspase9の役割

演者 柿坂 啓介(岩手医科大学消化器肝臓内科)
共同演者 Gores Gregory(Mayo Clinic, Department of Gastroenterology and Hepatology), 滝川 康裕(岩手医科大学消化器肝臓内科), 鈴木 一幸(岩手医科大学消化器肝臓内科)
抄録 目的・方法:非アルコール性脂肪肝のうち肝臓に炎症を伴う非アルコール性脂肪肝炎(Non-Alcoholic Steatohepatitis,NASH)は慢性肝炎,肝硬変に進行する.そのため,NASHの機序解明は治療法を検討するうえで急務である.NASHにみられるBallooned hepatocyte(BH)の存在は病態の進行度を評価する重要な指標の一つである.しかしBHの形成機序やBH以外の肝細胞との差異は未だ明らかではない.我々はNASH患者の肝組織ではBHは非BHと比較してCaspase9の発現が低下していることを見出した.そこで,Caspase9をノックダウンした肝癌細胞株Huh7(shC9)を作成し,肝細胞傷害作用のある飽和脂肪酸パルミチン酸(PA)およびその代謝産物であるリゾホスファチジルコリン(LPC)による影響を評価した.結果:shC9はHuh7野生型(WT)に比較してPA投与で細胞内に多くの脂肪滴を蓄積させた.更にPAおよびその代謝産物であるLPCにより惹起されるアポトーシスに抵抗し,BHで発現していることが報告されているSonic Hedgehog(SHH)の発現を亢進させた.SHH発現はJNK阻害剤で抑制されることからJNK依存性と考えられた.更にJNKの下流の転写因子であるc-Junが結合しSHHの発現を亢進させるc-Jun結合領域がSHHのプロモーター領域に2か所存在することを明らにした.結語:Caspase9をノックダウンした細胞は飽和脂肪酸刺激による肝細胞内の脂肪蓄積とSHHの発現に関与する.
索引用語