セッション情報 ポスター

肝 基礎

タイトル P-468:

2型糖尿病合併NAFLDモデルマウスに対するピオグリタゾンとアログリプチンの治療効果に関する検討

演者 飛田 博史(島根大学肝臓内科)
共同演者 佐藤 秀一(島根大学光学医療診療部), 木下 芳一(島根大学内科学第二), 斉藤 宰(島根大学内科学第二), 三宅 達也(島根大学内科学第二)
抄録 【目的】肥満人口の増加と共に,2型糖尿病を合併した非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者の増加が予測される.2型糖尿病合併NAFLDに対する糖尿病治療薬,ピオグリタゾン(インスリン抵抗性改善薬)とアログリプチン(DPP-4阻害剤)の治療効果を,コリン欠乏食負荷KK-Ayマウスを用いて検討した.【方法】KK-Ayマウス(12週齢・雄)を通常食群(NC群),コリン欠乏食群(CD群),0.02%ピオグリタゾン混餌群(PIO群),0.03%アログリプチン混餌群(ALO群),両薬剤混餌群(P+A群)に分けて(各群5~6匹),食餌と薬剤を8週間負荷した後にCD群と薬剤投与との間で各種パラメーターを比較検討した.【成績】CD群で認めた著明な脂肪肝は,PIO群,ALO群,P+A群で改善していた.PIO群とP+A群にアディポネクチンの上昇と糖代謝の改善を認めた.P群とP+A群はTGが低下,P+A群はHDL-Cが上昇していた.肝臓における脂質代謝について,肝組織を用いたRT-PCRで検討した.脂肪酸の合成に関わるSREBP1c(sterol regulatory element binding protein 1c)とFAS(fatty acid synthase)がPIO群で低下していた.脂肪酸のβ酸化に関わるCPT1a(carnitine palmitoyltransferase)がALO群とP+A群で上昇,AOXがPIO群で上昇していた.また,活性酸素除去系遺伝子であるSOD-1(superoxide dismutase 1)がALO群とP+A群で上昇していた.CPT1aの発現を制御しているPhospho(The172)-AMPKα(AMP-activated protein kinase)の肝組織における発現をウエスタンブロッティングで検討したところ,CD群と比較してALO群で増強を認めた.【結論】ピオグリタゾンとアログリプチンによる脂肪肝の改善作用とを示した.アログリプチンはAMPKの活性化を介したCPT1a発現増強により,脂肪酸のβ酸化促進することによって脂肪肝を改善することが示唆された.
索引用語