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肝炎 他

タイトル P-470:

当院における経口感染ウイルス性肝炎(A型,E型)症例の検討

演者 岡野 宏(鈴鹿中央総合病院消化器内科)
共同演者 松崎 晋平(鈴鹿中央総合病院消化器内科), 佐瀬 友博(鈴鹿中央総合病院消化器内科), 齋藤 知規(鈴鹿中央総合病院消化器内科), 向 克巳(鈴鹿中央総合病院消化器内科), 西村 晃(鈴鹿中央総合病院消化器内科), 長嶋 茂雄(自治医科大学医学部感染・免疫学講座ウイルス学部門), 高橋 雅春(自治医科大学医学部感染・免疫学講座ウイルス学部門), 岡本 宏明(自治医科大学医学部感染・免疫学講座ウイルス学部門)
抄録 A型肝炎は以前に比べて患者数が減少したが2010年に広域流行があった.また多数のA型肝炎患者が発生している韓国の流行株と同一クラスターに属するHAV株が,わが国の国内感染例から検出されている.一方E型肝炎は,土着株による国内感染例が相次いで報告され国内感染急性肝炎の原因として無視出来ない存在になっている.今回2003年~2012年の期間に当院で診療を受けたA型肝炎とE型肝炎の症例について,一部は遺伝子解析も行い検討した.【対象】2003年10月から2012年7月まで,当院で外来診療あるいは入院治療を受けた急性A型肝炎7例とE型肝炎13例.【結果】上記期間のウイルス性肝炎(A,B,C,E)は54例で,HAVとHEVによる症例は37%を占めた.集団発生例はなかった.Peak ALT値,peak T-Bil値及びNadirPT値はA型肝炎とE型肝炎でそれぞれ3304±1568 IU/Lと1154±1846 IU/L,6.6±4.5 mg/dLと2±5.6 mg/dL,58±15.6%と85±18.7%で,A型肝炎で肝障害が強い傾向が認められた.海外感染例はA型肝炎が2例,E型肝炎が1例であった.遺伝子解析では,A型肝炎は3例が解析され,IAが1例,IIIAが2例から検出されたが,既報の株と塩基配列が(98%以上)一致したのはインドでのIIIA感染例のみであった.E型肝炎は11例を解析し,7例の3spはいずれも同一クラスターに属した.また2例の3jpは100%の一致率であった.【結語】当院で診断された経口肝炎ウイルス性肝炎はA型に比べてE型の方が多いが(7例vs. 13例),E型が比較的軽症となる傾向がみられた.遺伝子解析の結果,A型では複数の感染源からの侵入ルートの存在が疑われた.一方E型では多数の国内感染例から同一株が検出され,近隣地域に同一感染源が存在し続けていると推測された.
索引用語