セッション情報 ポスター

肝炎 他

タイトル P-472:

B型肝炎ウイルス潜伏感染がC型肝炎ウイルス感染者の長期予後に及ぼす影響

演者 坪内 直子(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 宇都 浩文(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 熊谷 公太郎(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 佐々木 文郷(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 上村 修司(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 沼田 政嗣(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 森内 昭博(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 真(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 永田 賢治(宮崎大学消化器血液病学), 林 克弘(宮崎大学医学部医学教育センター), 下田 和哉(宮崎大学消化器血液病学), 坪内 博仁(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【背景】HBs抗原が陰性でも,HBs抗体,HBc抗体の両者あるいはいずれか一方が陽性の場合は,ごく微量のHBVが持続感染しており,これらのHBV潜伏感染者では免疫抑制剤などの使用によるHBV再活性化が問題となっている.一方,感染者においてはHBV潜伏感染が肝癌発症を促進する可能性が報告されているが,否定的な意見もある.
【目的】HCV高感染地区の地域住民を対象とした長期コホート研究において,HBV潜伏感染がHCV感染者の予後に及ぼす影響を明らかにする.
【方法】コホート研究の中で,HBs抗原陰性で,1996年までにHBc抗体を測定した400人を対象とした.観察期間は2005年12月までで,肝発癌や肝疾患関連死亡にHBc抗体陽性の有無が影響するかを検討した.また,2001年と2004年に測定した肝線維化マーカーの変化とHBc抗体の関連を解析した.
【結果】HCV RNA陽性者263例とRNA陰性者137例のHBc抗体陽性率はそれぞれ53.6%,52.6%で差は無かった.HCV RNA陽性者のうち,HBc抗体陽性群20例,HBc抗体陰性群13例で肝癌が発症し,両群の発症率に差はなかった.また,肝疾患関連死亡数はHBc抗体陽性群17例,HBc抗体陰性群16例で,HCV RNA陽性者における肝疾患関連死の独立した危険因子は1996年時の年齢65歳以上とALT値35IU/l以上で,HBc抗体陽性は危険因子ではなかった.さらに,2001年と比較して2004年の血清ヒアルロン酸と4型コラーゲン7Sは,HBc抗体陽性群(67例),陰性群(62例)いずれの群もそれぞれ有意に増加したが,HBc抗体の有無はそれらの増加に影響しなかった.
【結論】HCV高感染地区のコホート研究では,HBV潜伏感染は肝癌発症,肝疾患関連死および肝線維化進展に影響しなかったことから,HBV潜伏感染はHCV感染者の予後に影響しない可能性が示唆された.
索引用語